1987 年 84 巻 11 号 p. 2587-2592
食道癌に合併した Macroamylasemia で, 経過中に抗核抗体陽性を示した症例より得た Macroamylase を精製し, その結合様式について特に Amylase の側から蛋白化学的に調査するとともに, 免疫組織学的な検討をあわせて行つた. Macroamylase はIgA, κ結合型で, 沈降係数6.3sであつた. 至適温度, 至適pHは正常の Amylase と変わらず, 温度安定性, pH安定性は増加していた. 剖検で得られた組織について Peroxidase-antiperoxidase 法, 蛍光抗体法を行い, 脾の内皮細胞, 貪食細胞内にIgAおよび Amylase の局在を認めた. 以上の結果より Macroamylase は, Amylase 活性に影響を与えない特殊な結合様式をもち, その成因として免疫学的機序の関与が考えられた.