日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
84 巻, 11 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 強制拡張術によるアカラシア治療効果の判定
    氏家 裕明, 本郷 道夫, 林 義峰, 佐竹 賢三, 浅木 茂, 後藤 由夫, 奥山 信一
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2479-2485
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    アカラシア11例に対し, 強制拡張術 (pneumatic dilatation) を施行し, radioisotope を用いた食道排出能検査による通過障害の改善度の定量的評価について検討した. 拡張前, 嚥下15分後でも全例80%以上の食道内残存率を示しているのに比べ, 拡張後は, 15分後平均7%と著明な低下を示した. 強制拡張術は, 安全で有効な治療法であり, radioisotope による通過障害の判定は, 非侵襲的, 生理的であるばかりでなく, 検査法が容易であるという利点もあり, アカラシア治療において, 通過障害の改善度を, 定量的に評価しうる優れた方法であると考えられる.
  • 大久保 剛
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2486-2493
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    水浸拘束 stress 潰瘍発生における下垂体-副腎系の役割を下垂体摘出ラットを用いて検討した. stress 負荷前後の Ulcer Index (UI) を経時的に算定し, 同時に攻撃因子として胃内pH, 血清ガストリン値を, 防御因子として胃粘膜粘液糖タンパク質 (Hexose 量), 胃粘膜下血流量を測定した. 対照群ではUIは stress 負荷4時間目より増加し, 胃内pHは直後より低下し, ガストリンは4時間目より増加した. Hexose 量は経時的に有意に減少し, 胃粘膜下血流量も初期に約50%に減少した. 下垂体摘出群のUIは抑制され, 胃内pH, ガストリン, Hexose 量, 胃粘膜下血流量が stress による影響をほとんど受けず, 下垂体-副腎系は stress 潰瘍発生に大きな役割を果たしていることが示唆された.
  • 徳丸 隆彦, 坂本 純一, 渡辺 正, 山内 晶司, 伊藤 勝基, 市橋 秀仁, 中里 博昭, 高木 弘
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2494-2503
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    血液型関連抗原を認識するモノクローナル抗体を用いて, 胃癌46症例を対象に免疫組織染色を行い, 各抗原の胃組織内発現を解析した. 血液型関連抗原の解析は, type 1抗原であるLea, Leb, CA19-9, および type 2抗原であるX, Yの5種類について行つた. また一部症例の secretory status を調べ, 血液型関連抗原の胃組織内発現との関係についても検討した. 正常胃上皮では type 1系が, 深部胃腺管では type 2系の発現が認められ, それらの発現と胃組織の分化との間に強い関連性があることが示唆された. LeaおよびCA19-9は癌化に伴い発現が著明となり, 胃組織に関する限り腫瘍特異的であると考えられた. またCA19-9の血清値は, 進行症例で高値を示すものが多く, 腫瘍マーカーとして有用性が示唆された.
  • 山田 眞一
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2504-2512
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性頚髄損傷患者における上部消化管運動障害を検索する目的で, 試験食 (牛乳400ml) による胃排出機能検査を行うと同時に血中のガストリン濃度を経時的に測定した. その結果, 対照群では胃排出時間T1/2が44分34秒±4分2秒であつたが, 頚損群では著しい排出遅延が認められ, T1/2が60分以上を要した症例が56%の多くを占めた. また空腹時血中ガストリン濃度も, 対照群に比べて高値を示す傾向が認められた (p<0.01). 試験食負荷後のガストリン放出反応は, 対照群の多くが30分と90分にピークを持つ2峰性の反応を示すのに対し, 頚損群のほとんどは異なつた型の反応を示すことがわかつた.
  • 田邊 一郎, 藤村 寛, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2513-2521
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍の治癒過程を定量的に解析する方法として, Markov 過程を応用し, 崎田, 三輪分類のA, H, S各 stage に関する時間的推移の matrix 解析を行つた. 推移確率を示す3行3列の matrix 〔aij〕と, 2n週における各 stage 比率を表す3行1列の matrix P2nの間には, P2n=Po〔aijnの関係式が成立する. この式を H2受容体拮抗薬を中心とした各種薬剤の治験データに適用したところ, 極めてよい一致をみた. 薬剤による累積治癒率は, H→S段階において有意の差が認められた. 本法は, 従来の五ノ井や木村らの方法を包括した, さらに一般的な理論であり, matrix 表現によつて, A, H stage も含めた潰瘍治癒過程の多元的評価が可能となつた.
  • 松隈 則人
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2522-2530
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    活動期のクローン病 (以下C.D.) 7例について血清と大腸組織を採取し正常対照群と比較検討した. 血清の分泌型IgA (以下sIgA) はC.D. 群で有意に増加していた. 免疫組織化学的検討から, 大腸の粘膜固有層内のIgA産生細胞数はC.D. 群で有意に増加し, 粘膜上皮の secretory component (以下SC) の染色性は対照群と異なり粘膜上皮全体に強く染色された. さらに免疫電顕的にSCが円柱上皮細胞の基底側細胞膜から遊離し, 粘膜固有層の間質に拡散している像が認められた. すなわち C.D. では粘膜固有層でのIgAの産生と粘膜上皮でのSCの産生が亢進していると考えられ, そのためsIgAが血中に逆流し, 血清sIgAが上昇すると思われた.
  • 野田 修造, 河田 純男, 伊藤 信之, 三好 志雄, 今井 康陽, 斉藤 隆三, 田村 信司, 稲田 正己, 乾 由明, 松田 幸彦, 南 ...
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2531-2536
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝硬変症5例, 肝癌合併肝硬変症8例及び対照5例にアンチピリン(体表面積当り600mg)を経口投与し, 24時間尿中のアンチピリン代謝産物である3-hydroxymethylantipyrine(HMA), norantipyrine (NORA), 4-hydroxyantipyrine (OHA) を high performance liquid chromatography により分離定量した. この結果, 1) 3つの代謝産物の24時間尿中回収率は, 健常人で31.6±2.3%, 肝硬変症で, 4.7±1.6%, 肝癌合併肝硬変症で8.6±3.0%であり, 正常に比し肝硬変症及び肝癌合併肝硬変症で薬物酸化能が有意に低下していた (おのおのp<0.001). 2) 各代謝産物のアンチピリン投与量に対する比率は, HMA, NORA, OHAいずれにおいても肝硬変群及び肝癌合併肝硬変群で有意に低下していた (p<0.001及びp<0.01). 3) アンチピリンの総抱合能は, 肝硬変群では71.2±5.6%, 肝癌合併肝硬変群では76.0±6.3%であり, 正常群87.7±2.8%に比し有意に低下しており, 抱合能の低下も示唆された (おのおの正常群に対して, p<0.001).
  • 恩地 森一, 檀上 賢次, 宮岡 弘明, 谷口 嘉康, 太田 康幸
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2537-2541
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌 (HCC), 肝硬変 (LC) を対象として, 血中と肝組織内の tissue polypeptide antigen (TPA) について検討した. HCCの血中TPA値は, LCのそれと比べ有意差はなく, alkaline phosphatase と強い相関々係を認めた (p<0.005). TPAは生理的胆管上皮細胞に局在を認めた. LCでは再生結節周辺部にTPA陽性肝細胞を認めた. また, 肝細胞癌組織では, 16例中13例(81%)において肝細胞癌細胞がTPA陽性であつたが, 癌組織周辺の非癌部肝細胞も同様にTPAが陽性であつた. 以上から, 肝細胞癌における血中TPAは, 癌細胞と非癌部組織 (肝細胞, 肝管上皮) の双方からの由来が考えられ, それがHCCの診断においてTPAが腫瘍特異性に劣る原因と考えられた.
  • 相川 勝則
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2542-2550
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ヒト肝 glutathione S-transferase (GST) の有機陰イオン結合能, すなわち ligandin 能を知る目的で, GST各アイソザイムおよび各種肝疾患肝上清の rose bengal (RB) 結合親和性につき検討した. その結果, 塩基性 (C1, C2), 中性 (N1), 酸性 (A1) の各アイソザイムはRB結合親和性に大差なく, すべて1分子あたり, 1カ所の強いRB結合部位の存在が推定された. また肝上清17試料の検討では, 1-chloro-2,4-dinitrobenzene を基質として測定したGST活性, SDS-polyacrylamide ゲル電気泳動により定量したGST濃度, RB結合キネティックスにより求めた結合容量との間には互いに有意な正の相関を認め, 肝上清のGST酵素作用と ligandin 能とは概ね一致することが示唆された.
  • 伴 信之, 森安 史典, 玉田 尚, 川崎 俊彦, 宋 泰成, 中村 武史, 西田 修, 内野 治人
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2551-2557
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    静磁場強度2.0テスラの全身用MRI試作装置によつて正常成人10例及び肝硬変患者10例の計20例において, 肝の in vivo P-31 MRスペクトロスコピーを行い両者のスペクトルの相違について検討した.
    被検者の右側胸部にバタフライ型の送受兼用の表面コイルを装着し, パルス繰り返し時間200msecでスペクトルを得た. 体表組織からのMR信号の混入については, 下肢の信号と同等と考えて, 右側胸部から得られたスペクトルから下肢のスペクトルを, ホスホクレアチンを基準にしてサブトラクションをすることによつて処理した.
    肝硬変患者の肝のスペクトルにおけるホスホモノエステルとβ-ATPとの比は, 正常者に比して有意に高かつた. このことはP-31 MRスペクトロスコピーによつて, 肝硬変における代謝異常を検出できることを示していると考えられた.
  • 溝口 靖紘, 児玉 千枝, 荒川 哲男, 阪上 吉秀, 関 守一, 小林 絢三, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2558-2562
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Proipionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌をマウスに静注し, 7日後に少量のグラム陰性菌由来の lipopolysaccharide(LPS) を静注すると, ほとんどのマウスは広範な肝壊死を起こして死亡する. しかし, このような実験的肝障害を誘導する際に, prostaglandin(PG)E1, PGE2およびPGI2を投与すると, マウスの生存率は高くなり, 肝の組織学的変化も著明に改善された. その活性はPGI2, PGE2そしてPGE1の順で強くなつた.
  • 適応に関する検討
    真鍋 隆夫, 中塚 春樹, 椿本 光男, 神納 敏夫, 山田 哲也, 松岡 利幸, 高島 澄夫, 小林 伸行, 玉岡 紅一, 中村 健治, ...
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2563-2571
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    TAEを施行した主要門脈枝 (一次, 二次分枝) 閉塞例110例で抗腫瘍効果, 予後, 合併症等を検討した. 主要門脈枝閉塞例でも complete にTAEを施行すれば著明な抗腫瘍効果が得られ, そしてTAE著効例にのみ長期生存例が見られた. 予後は腫瘍栓が右一次分枝にまで浸潤した例で特に悪かつた. 左一次閉塞例の1年生存率は16.5%で右一次閉塞例の5%に比して優れていた. 合併症による早期死亡率は主要門脈枝非閉塞例の約4倍で, 特に右一次閉塞例で高かつた. 主要門脈枝閉塞例ではTAEの適否判定に慎重を要するが, その指標として門脈枝閉塞部位, 腫瘍の大きさ, 血管造影上の腫瘍型, ビリルビン値, ICG 15分値が重要と考えられた.
  • 村田 宣夫, 小菅 智男, 別府 倫兄, 出月 康夫
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2572-2578
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸患者に経皮経管胆道ドレナージ(PTCD)を施行し, 黄疸の軽減に伴い血中胆汁酸濃度および組成がどのように変動するかについて検討した. 減黄後, 血中非硫酸抱合胆汁酸はビリルビンより極めて速やかに下降し, 硫酸抱合胆汁酸の下降は非硫酸抱合胆汁酸に比し遅かつた. しかし, 減黄良好例に比べ減黄不良例では非硫酸抱合胆汁酸の下降は遅かつた. また, 硫酸抱合胆汁酸は減黄不良例では一層減少が遅く, むしろ増加する例もあつた. PTCD後の血中非硫酸抱合胆汁酸, 硫酸抱合胆汁酸濃度の減少と減黄効果との間に密接な関連性のあることが示唆された. cholic acid/chenodeoxycholic acid (C/CDC) 比の変化は減黄後一定の傾向は認められなかつた.
  • 超音波トランジットタイム血流計及びレーザードップラー血流計による検索
    角 昭一郎, 井上 一知, 小切 匡史, 土井 隆一郎, 高折 恭一, 森田 清文, 宮下 正, 鈴木 敞, 戸部 隆吉
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2579-2586
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    最近開発された超音波トランジットタイム血流計を用いてイヌ上腸間膜動脈と門脈の血流を, またレーザードップラー血流計を用いて膵実質の血流を同時に連続測定した. この同時測定系で, VIP及び新しく同定された peptide である neuromedin Nの影響を検討し, VIPの血流増加作用が膵において著明である一方SMAで比較的弱かつたのに対し, neuromedin Nは上腸間膜動脈での血流増加作用が最も著明で, 両 peptide の作用の特徴が明らかになつた. また超音波トランジットタイム血流計は意識下でも良好に測定し得た. これらの血流計は安定した連続実時間測定が可能な点で非常に有用であり, 今後の消化管機能研究に大きな貢献が期待される.
  • 山本 雅敏, 長谷川 辰雄, 山中 寛紀, 藤内 都, 吉田 利明, 高橋 昭彦, 山本 紘靖, 佐藤 孝道, 小栗 隆, 菅原 譲
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2587-2592
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    食道癌に合併した Macroamylasemia で, 経過中に抗核抗体陽性を示した症例より得た Macroamylase を精製し, その結合様式について特に Amylase の側から蛋白化学的に調査するとともに, 免疫組織学的な検討をあわせて行つた. Macroamylase はIgA, κ結合型で, 沈降係数6.3sであつた. 至適温度, 至適pHは正常の Amylase と変わらず, 温度安定性, pH安定性は増加していた. 剖検で得られた組織について Peroxidase-antiperoxidase 法, 蛍光抗体法を行い, 脾の内皮細胞, 貪食細胞内にIgAおよび Amylase の局在を認めた. 以上の結果より Macroamylase は, Amylase 活性に影響を与えない特殊な結合様式をもち, その成因として免疫学的機序の関与が考えられた.
  • 大西 真, 方 栄哲, 松橋 信行, 森山 貴志, 石川 隆, 油谷 浩幸, 井廻 道夫, 高久 史麿, 青山 弘
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2593-2596
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 吉田 行哉, 竹内 和男, 中島 正男, 福地 創太郎, 海上 雅光
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2597-2602
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 石井 博, 河村 一敏, 新井 一成, 高宮 有介, 加藤 貴史, 鈴木 利之, 渋沢 三喜, 片岡 徹, 小池 正, 石井 淳一
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2603-2606
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 塩酸惹起性胃粘膜傷害発生における意義
    佐久間 裕之, 中村 肇, 小林 健司, 福田 隆, 佐藤 博之, 荒川 哲男, 小林 絢三
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2607
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 川井 行雄, 佐伯 進, 岡野 裕行, 宮本 正喜, 王 東明, 高田 彰彦, 小野山 雄作, 三戸岡 英樹, 友藤 喜信, 安田 勤, 馬 ...
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2608
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • とくにソマトスタチン投与後の胆汁酸分画について
    須藤 峻章, 菖浦 隆治, 金沢 秀剛, 松本 雅史, 宮本 正章, 椿本 龍次, 別所 偉光, 河村 正生, 久山 健
    1987 年 84 巻 11 号 p. 2609
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top