日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
アルコール多飲者と, アルコール性および特発性慢性膵炎の膵管系の立体的再構築による比較
平林 秀光
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1987 年 84 巻 2 号 p. 276-285

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抄録

アルコール性慢性膵炎 (CAP) 発症機序解明の一助とするため, 対照群3例, 非アルコール性慢性膵炎 (CNAP) 2例, CAP5例, アルコール多飲非膵炎4例の剖検膵および切除膵を用いて, 膵管の立体的再構築を作製し, 組織所見とともに対比検討した. CAPでは主膵管, 分枝ともに粘膜面不整が著しく, 屈曲, 蛇行, ねじれおよび嚢状拡張などが認められた. CNAPでは粘膜面が比較的スムースで分岐の仕方は樹枝状に保たれていた. アルコール多飲者においては, 組織学的変化が少ないにもかかわらずCAPに類似し, 分岐部の膨大などの所見が認められた. 以上より, アルコール多飲者における分枝膵管の変化は, CAP例に類似しCAPへの準備変化像の一つと考えられた.

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