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内因性PGの酸分泌におよぼす影響
福田 隆, 荒川 哲男, 北田 恵一, 小林 健司, 根引 浩子, 重本 達弘, 佐久間 裕之, 中村 厚, 樋口 和秀, 佐藤 博之, 中 ...
1987 年 84 巻 2 号 p.
181-186
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
内因性PGが胃酸分泌に影響を与えるか否かを検討した. 胃瘻造設ラットを用い, PG生合成を刺激すると予測される高浸透圧刺激を加え, 胃内腔へのPGE
2遊離量と酸分泌量の動態を経時的に測定した. 高張 (20%) mannitol 溶液 (1220mosmol) の胃内貯留により, PGE
2遊離量は著明に増加し, 同時に酸分泌量は急激な減少を認めた. その後等張 mannitol 溶液に戻すことにより, PGE
2遊離量および酸分泌量は刺激前値に近づいた. indomethacin の貯留液添加により, 非刺激時の基礎酸分泌量は増加し, 高浸透圧刺激による酸分泌抑制作用は阻害された. 以上の結果より, 内因性PGE
2が酸分泌抑制作用を発揮しうる可能性が示唆された.
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山中 敏広, 中澤 三郎, 瀬川 昂生, 芳野 純治
1987 年 84 巻 2 号 p.
187-198
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
超音波内視鏡検査 (EUS) による胃潰瘍の超音波断層像を解析する目的で, 犬酢酸潰瘍6病変, ヒト切除胃潰瘍45病変のEUS像と病理組織像を対比検討した. EUSにより開放性潰瘍及び潰瘍瘢痕の深達度診断が可能であつた. 潰瘍底の浸出層と類線維壊死層は表層の高エコーに, 肉芽層と瘢痕層は中層から深層のやや低エコーまたは低エコーに, 粘膜筋板と固有筋層の融合は第2層と第4層の収束像として, 再生粘膜の被覆は周囲の第1層と連続した高エコー層として描出された. また, EUSは陥凹の形状を正確に描出できた. 同一症例12病変について臨床と切除標本のEUS像は一致し, 本法の臨床応用が可能であることを明らかにした.
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小林 裕子, 内野 治人, 三宅 健夫
1987 年 84 巻 2 号 p.
199-204
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト胃潰瘍辺縁部から採取した生検材料にトリチウムサイミジンによるオートラジオグラフィを施行し, 標識された細胞を透過電子顕微鏡で観察すると同時に細胞回転を検索した. A
2期からH
2期にみられる潰瘍辺縁部の再生上皮では高い標識率を示し盛んな細胞増殖が伺われ, 粘膜再生の主力は潰瘍辺縁部の拡大した増殖帯にあると考えられた. また細胞動態的には, A
2期からS
1期までは持続して亢進を示し, S
2期に至つて細胞動態は鎮静化してくるが, 未だ安定化するにはいたらない例も認められた.
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阻害剤ジエチルジチオカルバメートの影響について
荻野 景規, 岡 紳爾, 松田 和也, 松浦 伸二郎, 由村 俊二, 坂井田 功, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
1987 年 84 巻 2 号 p.
205-209
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃粘膜病変とスーパーオキシドは最近注目されているが, 著者らは, スーパーオキシドラジカル(O
-2) を代謝するCu, Zn-superoxide dismutase (SOD) の阻害剤であるジエチルジチオカルバメートをラットに投与することにより, 胃•小腸に潰瘍性病変の発生することを見出した.
また, 薬物投与後, 経時的に胃粘膜SOD活性を調べると, 1時間, 3時間, 7時間で同活性は有意に低下していた. 以上のことは, 生理的状態でもCu, Zn-SODはO
-2の scavenger として働いており, 胃•小腸粘膜防御機構におけるCu, Zn-SODの重要性を示唆するものである.
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超音波ドップラー法とカテーテル法による腸血管抵抗の測定
中村 武史, 森安 史典, 伴 信之, 西田 修, 玉田 尚, 川崎 俊彦, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 槇野 久春, 三宅 健夫, 内野 ...
1987 年 84 巻 2 号 p.
210-215
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変における腸血流亢進の病因を検討する目的で, 肝硬変20例, 慢性肝炎5例, 特発性門脈圧亢進症6例, 対照7例において腸血管抵抗を (平均動脈圧-門脈圧)/上腸間膜動脈 (SMA) 血流量により求めた. SMA血流量は超音波ドップラー法により求めた. 肝硬変群の腸血管抵抗(5.6±1.8mmHg•ml
-1•min•kg, mean±S.D.)は対照群(7.8±2.6)に較べ有意に低値であつた. SMAの Doppler spectrogram より算出した pulsatility index (PI) は腸血管抵抗と有意の1次相関を呈した. 以上より, 1) 肝硬変において腸血管抵抗が低下していること, 2) 超音波ドップラー法を用いて腹部動脈血流を観察する際にPIが有用であること, が示された.
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千住 雅博, 牧山 和也, 船津 史郎, 田中 俊郎, 長部 雅之, 伊津野 稔, 橘川 桂三, 村田 育夫, 田中 義人, 原 耕平
1987 年 84 巻 2 号 p.
216-220
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト正常大腸各部位の粘膜における, 肥満細胞, IgE含有細胞, 組織ヒスタミン含量を, 健常人14例, 53検体について検討した. その結果, 上行結腸, 横行結腸, 下行結腸, S状結腸, 直腸の5部位における, 肥満細胞数, IgE含有細胞数, 組織ヒスタミン含量は, いずれも各部位間で有意差を認めなかつた. また, 大腸粘膜固有層に存在する肥満細胞数と大腸粘膜組織ヒスタミン含量との間には, 正の相関が認められた. 以上の成績より, ヒト正常大腸各部位の粘膜における, 肥満細胞, IgE含有細胞, 組織ヒスタミンは, 上行結腸より直腸までほぼ均等に存在し, さらにヒト正常大腸粘膜の組織ヒスタミンが, 同部の肥満細胞内に局在する可能性が示唆された.
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浜田 慶城
1987 年 84 巻 2 号 p.
221-228
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
cAMP依存性下痢時の小腸吸収上皮細胞において, 小腸アルカリフォスファターゼ (ALPと略す)の局在の変化と細胞内回転を小腸ALPに対する抗体を用いて検討した. 免疫組織化学による光顕および電顕的検討ではコレラトキシン (CTと略す) 投与により, ゴルジ装置と微絨毛膜上や微絨毛近傍の腸管腔内膜様物にALPの増加を認めた. 生化学的には小腸ALPの酵素蛋白中に取り込まれた
3H-leucine の radioactivity はCT投与群では刷子縁膜分画および腸管内分泌液中で共に増加していた. 以上より, CTが小腸吸収上皮の小腸ALPの生合成を亢進させることが示された.
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ヌードマウスを用いた実験的検討
山田 一隆, 高尾 尊身, 石沢 隆, 島津 久明
1987 年 84 巻 2 号 p.
229-238
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
各組織型 (高分化•中分化•低分化型腺癌, 粘液癌, 印環細胞癌) のヌードマウス可移植性ヒト大腸癌株14株を樹立し, これらを用いて大腸癌の増大速度について検討した. 各腫瘍株の腫瘍体積倍加時間は5.1日から16.9日にわたり, その平均値は10.2日であつた. 組織型では低分化型腺癌で早く, 粘液癌および印環細胞癌では遅い増大速度を示した. 病巣では原発巣と比較し肝転移巣で速く, リンパ節転移巣で遅い傾向が認められた. 各腫瘍株の腫瘍体積と血清CEA値とのあいだに有意の相関がみられ, 増大速度の遅いものにCEA高産生能が認められた. また, MMCに対する感受性は増大速度の速いものほど高感受性が認められた.
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肝細胞障害度との関連
西村 泰行
1987 年 84 巻 2 号 p.
239-246
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性肝炎患者のインスリン受容体の変動を明らかにするため, 赤血球を用いてインスリン受容体特異結合率を測定し, 肝細胞障害度を示す生化学的な指標や血中インスリン濃度との関係を検討した. インスリン受容体特異結合率は健常者に比べて有意に低下しており, この低下は受容体数の減少によることが示唆された. また, インスリン受容体特異結合率とヘパプラスチンテストとの間には正の相関を認めたが, 血中IRI濃度との間には相関を認めなかつた. 以上より, 急性肝炎時にみられる赤血球インスリン受容体特異結合率の低下は, 高インスリン血症時の down regulation に起因する可能性は少なく, 肝細胞障害度と関連をもつ別の機序による可能性が示唆された.
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急性ウイルス肝炎における甲状腺ホルモン動態に関する検討
高橋 仁公, 山田 昇司, 長嶺 竹明, 佐伯 俊一, 阿部 毅彦, 桜井 誠司, 新井 孝之, 高木 均, 市川 邦男, 竹沢 二郎, 下 ...
1987 年 84 巻 2 号 p.
247-255
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性肝炎の急性期と回復期において各種甲状腺パラメーターを測定し, その変動の意義について検討した. 対象は急性ウイルス肝炎17例である. 急性期にはT
4は上昇, T
3は値にバラツキがみられたが回復期と有意差なく, free T
3 (FT
3) は急性期に低下し, reverse T
3(rT
3) は上昇した. free T
4は変動せず. またFT
3はGPTと負の相関をし, 肝炎の回復につれてGPTの低下とともに上昇し正常化した. rT
3はFT
3と鏡像的な変化を示した. さらにFT
3は肝障害の重症度を反映するプロトロンビン時間, ヘパプラスチンテストと正の相関をし, 血清アルブミン値, コリンエステラーゼ値とも相関したことより, 肝障害の重症度を表現する1指標となりうると考えられる.
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武田 弘, 溝口 靖紘, 阪上 吉秀, 宮島 慶治, 筒井 ひろ子, 申 東桓, 宋 健二, 関 守一, 黒木 哲夫, 針原 重義, 小林 ...
1987 年 84 巻 2 号 p.
256-260
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
正常ヒトおよび無症候性HBVキャリアの末梢血単核細胞を
3H標識エストラジオールおよび非標識エストラジオールと共に37°Cで培養し, 単核細胞に結合した放射活性を経時的に測定することにより, 単核細胞のエストラジオール結合能を検討した. その結果, 無症候性HBVキャリアでは正常ヒトに比し, 単核細胞のエストラジオール結合能が有意に低下していた. このことにより, 既に著者らが報告した無症候性HBVキャリア単核細胞のエストロゲンに対する応答異常の原因の一部に, 単核細胞のエストロゲン結合能の低下が関与している可能性が示唆された.
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笠原 彰紀, 林 紀夫, 佐々木 裕, 古澤 俊一, 松田 裕之, 八嶌 俊, 河野 通一, 目連 晴哉, 房本 英之, 佐藤 信紘, 鎌田 ...
1987 年 84 巻 2 号 p.
261-267
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変の重症度•予後の判定に臓器反射スペクトル解析法による肝局所血行動態•酸素需給動態の検討が有用か否かを検討した.
非代償性肝硬変の肝局所血液量 (ΔEr
569-650), 肝局所Hb酸素飽和度 (SO
2), 肝局所 in vivo 酸素消費(VO
2)は, 代償性肝硬変のそれらに比し有意に低下していた. 臓器反射スペクトル解析法施行後5年以内に死亡した肝硬変では5年以上生存しえた肝硬変に比しSO
2は有意に低下しており, 累積生存率による検討でもSO
2が40%以上の肝硬変は40%未満の肝硬変に比し生存率が高値であつた.
以上, 臓器反射スペクトル法による肝局所血行動態•酸素需給動態の解析が肝硬変の重症度, 予後の判定に有用と考えられた.
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丸山 裕, 新津 洋司郎, 高橋 康雄, 平田 康二, 本間 久登, 山科 哲朗, 漆崎 一朗
1987 年 84 巻 2 号 p.
268-275
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト胎盤組織より精製したpI4.7の酸性 glutathione S-transferase (anionic GST) と同蛋白に対する抗血清を用いて二抗体法による radioimmunoassay (RIA)を確立した. RIAは10~1000ng/mlの範囲で測定可能であり正常ヒト血清中の anionic GST濃度は13.5±3.1 (平均±SD) ng/mlであつた. anionic GSTは胃癌 (26.1±14.8ng/ml), 大腸癌 (44.0±15.1ng/ml) とくに両者の肝転移例 (266.0±178.3ng/ml) と原発性肝癌(175.4±55.2ng/ml)の患者血清中で高値を示した. 肝炎(18.2±6.7ng/ml), 肝硬変症 (19.4±5.5ng/ml) 患者血清中では正常群と有意差はなかつた. 以上より同法は消化器悪性腫瘍の血清診断に有用と考えられた.
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平林 秀光
1987 年 84 巻 2 号 p.
276-285
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
アルコール性慢性膵炎 (CAP) 発症機序解明の一助とするため, 対照群3例, 非アルコール性慢性膵炎 (CNAP) 2例, CAP5例, アルコール多飲非膵炎4例の剖検膵および切除膵を用いて, 膵管の立体的再構築を作製し, 組織所見とともに対比検討した. CAPでは主膵管, 分枝ともに粘膜面不整が著しく, 屈曲, 蛇行, ねじれおよび嚢状拡張などが認められた. CNAPでは粘膜面が比較的スムースで分岐の仕方は樹枝状に保たれていた. アルコール多飲者においては, 組織学的変化が少ないにもかかわらずCAPに類似し, 分岐部の膨大などの所見が認められた. 以上より, アルコール多飲者における分枝膵管の変化は, CAP例に類似しCAPへの準備変化像の一つと考えられた.
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竹田 武彦, 誉田 芳孝, 宮本 正喜, 西崎 朗, 永田 正男, 谷 聡, 末広 逸夫, 広瀬 良和, 玉田 文彦, 大江 勝, 江原 成 ...
1987 年 84 巻 2 号 p.
286-290
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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酒井 孝夫, 西野 執, 阿部 良和, 甲斐 俊吉, 尾崎 元信, 井村 和博, 大矢 妙子, 数佐 哲, 横沢 禎二, 鈴木 誠, 大村 ...
1987 年 84 巻 2 号 p.
291-296
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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松村 潔, 梶原 英二, 辻 博, 大里 紳一郎, 上野 道雄, 村井 宏一郎, 赤木 公博, 藤島 正敏
1987 年 84 巻 2 号 p.
297-301
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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画像診断を中心に
森田 真照, 岡島 邦雄, Tetsuya TAMIO, 久保川 学, 松井 昭彦, 中田 英二, 中島 立博, 石賀 信史
1987 年 84 巻 2 号 p.
302-306
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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鈴木 亮一, 戸田 裕, 佐々木 賢二, 浜畑 幸弘, 西郡 克郎, 杉政 龍雄, 高邑 裕太郎
1987 年 84 巻 2 号 p.
307
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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後藤 秀実, 中澤 三郎, 瀬川 昂生, 塚本 純久, 福井 明, 小澤 高将
1987 年 84 巻 2 号 p.
308
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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玉沢 直樹, 米田 政志, 牧野 勲, 武部 和夫
1987 年 84 巻 2 号 p.
309
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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久保田 俊一郎, 上東 洋一, 名富 仁美, 斉藤 栄一, 菅野 健太郎, 大沢 仲昭, 高久 史麿
1987 年 84 巻 2 号 p.
310
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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宮川 晴雄, 吉川 敏一, 谷川 徹, 竹村 俊樹, 吉田 憲正, 村上 正志, 杉野 成, 近藤 元治
1987 年 84 巻 2 号 p.
311
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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モノクローナル抗体を用いて
荻野 景規, 岡 紳爾, 松浦 伸二郎, 松田 和也, 由村 俊二, 佐々木 敏行, 坂井田 功, 山本 一成, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良, ...
1987 年 84 巻 2 号 p.
312
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー