日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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肝動注化学療法後の急性胃粘膜病変
栗本 組子加納 知之荒井 保明小林 世美木戸 長一郎春日井 達造
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1987 年 84 巻 5 号 p. 1029-1036

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抄録

肝悪性腫瘍100例に対し肝動注化学療法を行い, 動注後上部消化管症状を訴えた33例中20例に内視鏡検査を行つた. その結果17例にAGML (急性胃潰瘍14例, 急性胃炎3例) を認め, その発生部位は抗癌剤流入動脈の領域に一致していた. 動注療法別のAGML発生頻度は one shot 動注85例中8例(9.4%), 間欠動注30例中4例 (13.3%) 持続動注20例中5例 (25%) と強力な化学療法を行つた群に多かつた. 動注療法時にはより選択的な肝のみの血管への動注を考慮し, 特に右胃動脈への抗癌剤の流入防止を心がけるべきである. 動注療法後の消化器症状に対しては速やかに内視鏡検査を行い, AGMLを認めた際は動注療法の中止と適切な治療が必要である.

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