日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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血中リノール酸濃度からみた Crohn 病の栄養障害
杉田 昭
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1988 年 85 巻 3 号 p. 683-691

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抄録

Crohn 病に合併する脂肪欠乏状態を検討するため, リノール酸をはじめとする必須脂肪酸をふくむ血中高級脂肪酸濃度を測定し, 更に食事摂取量, 便中脂肪排泄量, 胆汁中胆汁酸分析, エネルギー代謝量の測定を行つた. 対象は小腸型, および小腸大腸型 Crohn 病31症例とした. 必須脂肪酸のうちで最も重要である血中リノール酸濃度は重症度に一致して低下し, 脂肪欠乏が示されたが治療により改善する例が多かつた. 軽症例でも血中リノール酸濃度が低下している例が多く, その原因は脂肪摂取量の減少によるものが主であり脂肪吸収障害や代謝の亢進との関連は少ないことが示された.

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