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荒川 哲男, 佐藤 博之, 福田 隆, 佐久間 裕之, 小林 健司, 中村 肇, 小林 絢三
1988 年 85 巻 3 号 p.
655-658
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラットを用いて胃粘膜プロスタグランジン (PG) 系およびサイトプロテクション能の日内変動を検討した. 胃内腔へのPGE
2遊離量は深夜から早朝にかけて低値を示し, 午前8時~10時に最高値となり, 昼~夕は中間値を維持する概日リズムがみられたが, 酸分泌にはこのようなリズムは認められなかつた. 胃粘膜PGE
2量は遊離量とほぼ平行して午前2時にもつとも低値を, 午前10時にもつとも高値を示した. サイトプロテクション能の指標である0.6N HCl惹起性胃粘膜傷害の程度は, 午前2時に強く午前10時に弱い傾向が得られた. これらの成績から, 胃粘膜においてPG合成系は概日リズムを有することが示唆された.
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Cimetidine 200mg QIDおよび800mg UIDの影響
本郷 道夫, 大原 秀一, 浅木 茂, 後藤 由夫, 櫻田 弘之, 渋谷 大助, 金原 孝行
1988 年 85 巻 3 号 p.
659-666
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
微小pH電極による胃内pHの測定は, 胃液の吸引や滴定を行わないので胃内環境を変えることが少なく生理的条件での測定が可能である. 胃内酸環境を表す方法にはpHで表す方法の他, 水素イオン濃度で表す方法がある. 活動期十二指腸潰瘍患者を対象にシメチジン800mg UID投与と200mg QID投与時の胃内酸環境に対する影響を, 1) 平均pH, 2) 平均水素イオン濃度および, 3) pH分布持続時間の面から検討した. UIDはQIDに比して特にpHの面で強い夜間酸分泌抑制を示したが, 日中の酸分泌に対しては平均水素イオン濃度においてQIDがやや強い傾向を示した. 酸分泌抑制剤の胃内酸環境に対する効果を判定するには平均pHのみならず, いくつかの面からの検討が必要と考えられた.
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吉田 行哉, 橋本 光代, 山田 直行, 早川 和雄, 福地 創太郎, 澤野 眞二
1988 年 85 巻 3 号 p.
667-674
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
悪性貧血例の前庭部および胃体部の粘膜内 immuno-reactive somatostatin (IRS) および immuno-reactive gastrin (IRG) 含量を同一の胃生検組織を用いて測定し, 胃•十二指腸潰瘍例のそれと比較検討した.
高 gastrin 血症を示す悪性貧血では, 前庭部の粘膜内IRS•IRG含量はともに高値を示したが, IRS含量とIRG含量の間に相関は認められず, またIRG含量/IRS含量は著明な高値を示した. 一方, 幽門腺粘膜も高度な萎縮を示し高 gastrin 血症を示さない悪性貧血では, 前庭部粘膜内IRS•IRG含量はともに胃•十二指腸潰瘍のそれと同程度であつた. 悪性貧血では, 通常G細胞の認められない胃体部の粘膜内にもIRGを検出し, また, 胃底腺領域の強度の萎縮にもかかわらず, 胃体部の粘膜内IRS含量は, 胃•十二指腸潰瘍のそれと差は認められず減少を示さなかつた.高 gastrin 血症と無酸を呈する悪性貧血の前庭部 somatostatin は, gastrin による分泌促進と無酸による分泌抑制をうけており, gastrin の増加に相応する十分な somatostatin 分泌の増加が起こらないものと推定された.
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4症例についての検討
光藤 章二, 西田 博, 児玉 正, 辻 秀治, 高升 正彦, 古谷 慎一, 辰巳 嘉英, 時田 和彦, 川本 克久, 藤野 博也, 布施 ...
1988 年 85 巻 3 号 p.
675-682
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃悪性リンパ腫 (決潰型3例, 潰瘍型1例) の超音波内視鏡像の特徴および深達度診断について, 胃癌と比較し検討した.
腫瘍の内部エコーは髄様癌では比較均一なエコー像を, 中間型および硬性癌では不均一なエコー像を呈する傾向にあつた. これに対し胃悪性リンパ腫では境界明瞭で均一な低エコー像を呈したが, これは胃癌に比し間質が少なく, 腫瘍細胞が密に集簇した組織であるためと考えられた. また, 胃癌と同様に深達度診断が可能であつた.
さらに, 超音波内視鏡は胃悪性リンパ腫の粘膜下腫瘍としての特徴を捉えることにより, 胃癌との鑑別上有用な検査法となり得る可能性が示唆された.
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杉田 昭
1988 年 85 巻 3 号 p.
683-691
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Crohn 病に合併する脂肪欠乏状態を検討するため, リノール酸をはじめとする必須脂肪酸をふくむ血中高級脂肪酸濃度を測定し, 更に食事摂取量, 便中脂肪排泄量, 胆汁中胆汁酸分析, エネルギー代謝量の測定を行つた. 対象は小腸型, および小腸大腸型 Crohn 病31症例とした. 必須脂肪酸のうちで最も重要である血中リノール酸濃度は重症度に一致して低下し, 脂肪欠乏が示されたが治療により改善する例が多かつた. 軽症例でも血中リノール酸濃度が低下している例が多く, その原因は脂肪摂取量の減少によるものが主であり脂肪吸収障害や代謝の亢進との関連は少ないことが示された.
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今西 建夫, 森川 俊一, 大曲 勝久, 栗原 紳太郎, 西畑 伸二, 神谷 直昭, 林田 研司, 谷岡 一, 村田 育夫, 牧山 和也, ...
1988 年 85 巻 3 号 p.
692-698
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
B型慢性肝炎 (CH), 肝硬変 (LC) および肝癌 (HCC) の進展ならびに, 予後に与える常習飲酒の影響を, 常習飲酒家群 (A群) 88例と非飲酒家群 (B群) 116例に分けて比較検討した. CHの診断時年齢はA群39歳でB群はこれより5歳若く34歳であつたが, LC, HCCになると, 逆にA群がB群よりそれぞれ2歳と12歳若く, 47歳と50歳であつた. またLCの5年生存率はA群で51.3%, B群で75.7%, HCCの3年生存率はA群で6.3%, B群で16.8%であつた. しかし肝硬変に進行してから禁酒しても, 累積生存率に有意差はみられなかつた. 反復肝生検施行例において, 悪化例はA群61.0%, B群47.1%で, 改善例はA群11.0%, B群35.3%であり, 肝硬変移行率は55.6%と29.4%であつた. HBe抗原および肝内HBc抗原の陽性率に差はみられなかつた.
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コレステロール胆石生成との関連において
岡橋 誠
1988 年 85 巻 3 号 p.
699-707
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
内•外因性コレステロールの胆汁中への排泄をコレステロール胆石生成との関運において検討する目的でラット肝を用いて灌流実験を行った.〔
14C〕Acetate,〔
3H〕C-HDLおよび〔
3H〕C-LDLをそれぞれ灌流液中に注入後, 3時間で排泄された胆汁中コレステロールおよび胆汁酸の放射活性を測定した. その結果, 胆汁中のコレステロール/胆汁酸の放射活性比はそれぞれの群間で有意の差を認め,〔
14C〕Acetate 注入群で最も高値であつた. また, 各胆汁酸分画の放射活性は,〔
3H〕C-HDL注入群ではケノデオキシコール酸系に比ベコレステロール溶存能の低いコール酸系が多くの部分を占めた. これらの事実は, Acetate より肝臓で新たに合成される内因性コレステロールおよび外因性コレステロールのうちHDL-遊離コレステロールの胆汁中排泄の増加がコレステロール胆石の生成を促進する可能性を示唆する成績であつた.
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矢沢 孝文, 土屋 幸浩, 税所 宏光, 大藤 正雄
1988 年 85 巻 3 号 p.
708-714
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胆石の超音波特性に基づいた性状診断について検討した. 148手術症例の胆石を大きさにより径10mm以上の大胆石, 径10mm未満の小胆石に分け, 大胆石では胆石高エコー像の相違により, 小胆石では存在様式により分類した. 胆石高エコー像の成り立ちには胆石の肉眼割面構造及びこれを構成するコレステロールやビリルビンカルシウム成分などの物理化学的因子に基づく超音波特性が関与すると考えられた. 従つてこの超音波分類は胆石の種類や石灰化などの性状診断を可能にし, 胆汁酸投与による胆石溶解治療の適応胆石の選択に応用できると考えられた.
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吉村 高士, 真辺 忠夫, 戸部 隆吉
1988 年 85 巻 3 号 p.
715-721
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
galanin の insulin 分泌抑制作用に対する神経性因子を検討するために, イヌで phentolamine,yohimbine, prazosin, naloxone, atropine を合成 galanin と共に投与して血糖•insulin の変化をgalanin 単独群と比較した. phentolamine, yohimbine の投与によに insulin には有意の上昇がみられるが, galanin の insulin 分泌抑制作用には影響が認められなかつた. prazosin, naloxone, atropine の投与は, それ自身 insulin 分泌に影響を及ぼさず, galanin の insulin 分泌抑制作用にも変化がみられなかつた. 従つて, α-adrenergic receptor, opiate receptor, muscarinic receptor は galanin の insulin 分泌抑制に影響を及ぼさず, galanin の作用は膵島B細胞への直接作用である可能性が示唆された.
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中村 隆彦
1988 年 85 巻 3 号 p.
722-728
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
エタノールの膵外分泌機能に対する作用をラット遊離膵腺房を用いて検討した. エタノールはCa
2+efflux を増加させ, アミラーゼ分泌を用量依存性に刺激した. エタノール添加により secretin によるアミラーゼ分泌は相乗的に増加したが, cholecystokinin (CCK) や carbamylcholine によるアミラーゼ分泌は低下した. エタノールはCCKによるCa
2+ efflux だけではなくスコポラミンのムスカリン様受容体に対する結合も抑制した. 従つてエタノールは膵腺房細胞に直接作用しアミラーゼ分泌を刺激する作用と, CCKおよび carbamylcholine と共に用いると, これらの刺激物質のCa
2+移動ならびに受容体への結合を抑制する二面性の作用を有していた.
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河島 祥彦, 高岡 亮, 藤村 和代, 北尾 優子, 西門 博之, 奥平 勝, 立岩 二朗, 平松 新, 水野 孝子, 鮫島 美子, 井上 ...
1988 年 85 巻 3 号 p.
729-733
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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川本 克久, 西田 一弘, 渋谷 幸雄, 高梨 忠寛, 上口 美知子, 今城 茂良, 佐藤 達之, 丸山 恭平, 布施 好信, 児玉 正, ...
1988 年 85 巻 3 号 p.
734-737
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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斉藤 治, 鄭 鳳鉉, 松本 恒司, 林 勝吉, 折野 真哉, 平田 一郎, 大柴 三郎, 竹田 幹, 冨士原 彰, 岡島 邦雄
1988 年 85 巻 3 号 p.
738-742
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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新谷 寛, 平田 真人, 佐々木 雅也, 小菅 一彦, 橋田 修平, 橋本 充右, 宮原 勅治, 横田 峻, 井上 久行, 馬場 忠雄, 細 ...
1988 年 85 巻 3 号 p.
743-747
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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常見 幸三, 山本 正博, 奥村 修一, 大柳 治正, 斉藤 洋一, 門脇 誠三, 千葉 勉
1988 年 85 巻 3 号 p.
748-754
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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肝癌治療を目指して
神納 敏夫, 中村 健治, 松岡 利幸, 小川 隆平, 村田 佳津子, 臼杵 則朗, 椿本 光男, 真鍋 隆夫, 山田 哲也, 高島 澄夫, ...
1988 年 85 巻 3 号 p.
755
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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ESRスピンラベル法による検討
島 俊英, 中嶋 俊彰, 瀬戸 良文, 中島 年和, 阪本 善邦, 奥野 忠雄, 瀧野 辰郎
1988 年 85 巻 3 号 p.
756
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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切塚 敬治, 西崎 浩, 塩見 勝彦, 古谷 裕道, 河野 厚, 姫井 成, 原田 英雄
1988 年 85 巻 3 号 p.
757
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー