1988 年 85 巻 8 号 p. 1508-1517
急性A型肝炎 (AHA), 急性B型肝炎 (AHB), 散発性の急性非A非B型肝炎 (AHNANB) での免疫応答の差異を, 血清中の2-5 Olygoadenylate synthetase (2-5AS), β2-Microglobulin (BMG) の推移, 及びBMGの肝細胞での表出動態より検討した. 血清中2-5AS活性, BMG値は, AHA, AHB とも急性期に高く, 回復期に正常化した. 急性期の比較では, AHAのほうが高かつた. これらより肝炎発症前後にインターフェロン (IFN) が作動し, またそれがA型でより速やかであることを示唆していると考えられた. 光顕, 電顕的観察で, BMGは急性期の肝細胞で産生され, 膜上に表出されることが明らかとなつた. 回復期の肝細胞からは, BMGはほぼ消失していた. BMGの染色性はA型ではB型に比較して高度で, 組織でのBMGの変化は血清中の動態にも反映されていると考えられた. AHNANB では, 2-5AS, BMGともsGTP値の変動との間に関連を認めず, 個々の値も低値で, 免疫応答が起こりにくいと考えられた.