日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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急性ウイルス性肝炎における非特異的免疫応答に関する研究
特に血清2-5AS活性, BMGの推移と肝細胞におけるBMGの免疫組織学的検討
鈴木 宏
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1988 年 85 巻 8 号 p. 1508-1517

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抄録

急性A型肝炎 (AHA), 急性B型肝炎 (AHB), 散発性の急性非A非B型肝炎 (AHNANB) での免疫応答の差異を, 血清中の2-5 Olygoadenylate synthetase (2-5AS), β2-Microglobulin (BMG) の推移, 及びBMGの肝細胞での表出動態より検討した. 血清中2-5AS活性, BMG値は, AHA, AHB とも急性期に高く, 回復期に正常化した. 急性期の比較では, AHAのほうが高かつた. これらより肝炎発症前後にインターフェロン (IFN) が作動し, またそれがA型でより速やかであることを示唆していると考えられた. 光顕, 電顕的観察で, BMGは急性期の肝細胞で産生され, 膜上に表出されることが明らかとなつた. 回復期の肝細胞からは, BMGはほぼ消失していた. BMGの染色性はA型ではB型に比較して高度で, 組織でのBMGの変化は血清中の動態にも反映されていると考えられた. AHNANB では, 2-5AS, BMGともsGTP値の変動との間に関連を認めず, 個々の値も低値で, 免疫応答が起こりにくいと考えられた.

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