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川村 武, 蝦名 弘子, 小泉 文明, 石森 章
1988 年 85 巻 8 号 p.
1459-1465
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ビタミンB
2 (VB
2) はフラビン酵素であるグルタチオン還元酵素を介して生体内の酸化還元系に関与し, VB
2欠乏ラットでは脂質過酸化の促進などが認められている. 我々は胃粘膜に於ける脂質過酸化が胃粘膜障害発現に関与しているという観点から, VB
2欠乏ラット及びVB
2酪酸エステル投与ラットを作成し, 標準食群を対照とした水浸拘束ストレス潰瘍実験を行つた. その結果VB
2欠乏ラットではストレス負荷後の脂質過酸化の著明な促進が認められ, ストレス負荷による胃粘膜障害も標準食群に比して増悪した. 一方VB
2酪酸エステル投与群においてはストレスによる脂質過酸化及び胃粘膜障害発現の著明な抑制が認められた. 従つて, VB
2はストレスによる胃粘膜障害発現に関与し, それは脂質過酸化における抗酸化作用を介して胃粘膜障害発現の抑制に貢献したものと推察される.
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fura-2/AMを用いた検討
武藤 信美, 谷 礼夫, 唐澤 博之, 原 雅文, 三輪 剛
1988 年 85 巻 8 号 p.
1466-1474
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
我々は, histamine 刺激の酸分泌におけるsecond messenger としてのa
++と cyclic AMPの関係について検討し, 両者は互いに協調し合うのではないかと推測してきた. 今回, 細胞内Ca
++ probe として fura-2/AMおよびquin-2/AMを用い, モルモット単離壁細胞における histamine 刺激による細胞内Ca
++濃度の変動を2波長励起法にて検討した.
fura-2/AMを用いた場合は, 非刺激時で179.75±9.67nMであつた細胞内Ca
++濃度は, histamine 刺激にて濃度依存性に上昇し, peak 時で332.78±35.84nMまで上昇した. しかし, quin-2/AMを用いた場合は上昇がみられなかつた. 以上より, fura-2/AMはquin-2/AMに比べ細胞内Ca
++ probe として有用であり, 又, histamine 刺激の酸分泌に細胞内Ca
++が関与していることが示唆された.
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青森県の大腸癌罹患について
石黒 昌生
1988 年 85 巻 8 号 p.
1475-1482
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
青森県内で1974年1月より1983年12月までに診断された大腸癌を調査し, 2700例の大腸癌症例を得た. 各地域の基幹病院はすべて調査し, 調査の精度および診断の正確性は本邦の癌登録制度のそれを上回つた. 粗罹患率を算出し年次推移を検討したが, 10年間で直腸癌1.9倍, 結腸癌2.9倍と増加しており, 1983年の10万対粗罹患率は直腸癌11.6人, 結腸癌14.5人であつた. その増加率は大腸癌粗死亡率の1.5倍をはるかに上回つていた. また, 性比は直腸癌で男性優位, 結腸癌では差がなかつた. 大きな特色として, 粗罹患率の増加傾向は, 直腸癌よりも結腸癌, 特にS状結腸癌で顕著であつた. これは日系ハワイ人の大腸癌罹患傾向に類似していた.
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成沢 富雄, 高橋 政弘, 丹羽 誠, 小山 裕文, 日下 尚志, 山崎 好日児, 永沢 治, 小棚木 均, 小山 研二
1988 年 85 巻 8 号 p.
1483-1489
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ポリアミン合成酵素オルニチン脱炭酸酵素の誘導亢進が発癌プロモーションの指標として利用されている. 大腸癌67例と非大腸癌6例の切除大腸の正常粘膜の本酵素活性を測定した. 癌と腺腫が合併した多発腫瘍例は癌単発例より, またこの両者は非大腸癌例より高い酵素活性を示し, それは左側大腸多発腫瘍例でより顕著であつた. 担癌大腸, 特に多発例は多量の発癌性物質に曝露されたか, それに高感受性であることを示している. 本酵素は大腸癌高危険群の良い生物学的指標となる. プロスタグランジン合成阻害剤インドメサシン投与例の酵素活性は低値であつた. 本剤が人大腸においても抗プロモーター作用を有していることを示唆している.
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森岡 暁, 馬場 正三
1988 年 85 巻 8 号 p.
1490-1500
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
家族性大腸腺腫症患者26例, 15家系の随伴病変を検討することを目的とし, まず家系別症例について手術時のポリープ数, 微小腺腫密度について検討した. また術前拡大色素内視鏡検査を行うことにより微小腺腫, 単一腺管腺腫を観察した. これらの症例における顎骨潜在骨腫, 上部消化管ポリープ, 眼底の色素異常, 甲状腺腫, デスモイド腫瘍など随伴病変の頻度を検討し, その臨床上の重要性を検討した. 特に眼底色素斑が患者に高率に認められ, 子供の保因可能者の50%に認められ, しかも1歳2カ月ですでに認められた症例もあつた. したがつて Gardner 症候群のみならず広くFACの保因可能者の marker として重要な位置を占めるものと考えられる.
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北村 清明, 古川 裕夫, 内野 治人
1988 年 85 巻 8 号 p.
1501-1507
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
潰瘍性大腸炎患者において, ヒト胎児大腸粘液多糖類 (PS抗原) に対す皮内反応では遅延型反応 (DTH) が認められ, PS抗原で免疫したモルモットでもDTHが認められる. 今回, 全身免疫で招来されるこの細胞性免疫産生能が cell-mediated であることを示す目的で, モルモットをPS抗原とFreunds' complete adjuvant (FCA) で足蹠免疫し, その腹腔に流動パラフィンを注入し, 腹腔細胞を pool し, その腹腔細胞を未処置のモルモットの心腔内に one shot で注入し, 一定時間後にPS抗原で皮内反応を challenge すると, DTHは陽性を示した. この事実より, PSによるDTHは cell-mediated であることを示し, 腹腔細胞は全身免疫時 commit された単球の集合体であることを示した.
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特に血清2-5AS活性, BMGの推移と肝細胞におけるBMGの免疫組織学的検討
鈴木 宏
1988 年 85 巻 8 号 p.
1508-1517
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性A型肝炎 (AHA), 急性B型肝炎 (AHB), 散発性の急性非A非B型肝炎 (AHNANB) での免疫応答の差異を, 血清中の2-5 Olygoadenylate synthetase (2-5AS), β
2-Microglobulin (BMG) の推移, 及びBMGの肝細胞での表出動態より検討した. 血清中2-5AS活性, BMG値は, AHA, AHB とも急性期に高く, 回復期に正常化した. 急性期の比較では, AHAのほうが高かつた. これらより肝炎発症前後にインターフェロン (IFN) が作動し, またそれがA型でより速やかであることを示唆していると考えられた. 光顕, 電顕的観察で, BMGは急性期の肝細胞で産生され, 膜上に表出されることが明らかとなつた. 回復期の肝細胞からは, BMGはほぼ消失していた. BMGの染色性はA型ではB型に比較して高度で, 組織でのBMGの変化は血清中の動態にも反映されていると考えられた. AHNANB では, 2-5AS, BMGともsGTP値の変動との間に関連を認めず, 個々の値も低値で, 免疫応答が起こりにくいと考えられた.
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金岡 彦治, 岡上 武, 澤 美彦, 太田 義治, 加知 一友, 森本 道雄, 香川 恵造, 瀧野 辰郎
1988 年 85 巻 8 号 p.
1518-1524
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒトの盲目的肝生検組織を用いて走査電顕で類洞内皮細胞小孔 (SEF) を観察し, SEFの直径,数, 有孔度を定量的に解析し, ラット肝のそれと比較検討した. ヒトのSEFの直径はラットと同様に zone 1 では zone 3 に比し有意 (p<0.001) に大きく, その数は zone 3 の方が有意 (p<0.01) に多かつた. SEFの有孔度は zone 1 に比し zone 3 の方が有意 (p<0.01) に大きかつた. ヒト, ラットともに肝小葉内においてSEFの直径, 数, 有孔度に heterogeneity が存在していた. 盲目的肝生検組織を用いたヒトのSEFの大きさや存在様式の定量的解析結果は, 今後ヒトの肝疾患の病態とSEFの変化との関連性を解明していくうえで重要な資料と考えた.
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本態性高コリンエステラーゼ血症およびアイソザイム異常バンドとの関連について
山本 匡介, 森戸 文隆, 本村 光明, 尾崎 岩太, 生山 祥一郎, 瀬戸口 洋一, 藤井 貞人, 苅家 利承, 堺 隆弘
1988 年 85 巻 8 号 p.
1525-1529
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
健診において血清コリンエステラーゼ活性高値を示した522名についてその成因を検討した. その結果, 高度異常例 (81例, 16%) には, 高コリンエステラーゼ血症の成因として従来から指摘されていた過栄養, 肥満, 脂肪肝とは異なつた成因の関与が強く疑われた. さらに著者らが先に報告した家族性高コリンエステラーゼ血症において認めたコリンエステラーゼアイソザイム異常バンドを高度異常例において高頻度に検出した. 以上の事実から高コリンエステラーゼ血症の成因として高度異常例には本態性あるいは家族性高コリンエステラーゼ血症の関与が大きく, これらの診断にアイソザイム分析が有用であることが示された.
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田妻 進, 佐々木 晴敏, 水野 重樹, 野村 洋子, 堀内 至, 梶山 梧朗, 中井 志郎, 角 重信, 増田 哲彦
1988 年 85 巻 8 号 p.
1530-1535
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ウルソデオキシコール酸 (UDCA) 服用によるnucleation time (NT) への影響を検討した. 術前に経口胆石溶解剤を服用しなかつたコレステロール胆石患者11例の胆嚢胆汁のNTが, 1.9±1.8day でたつたのに対し, 術前にUDCAを300mg/day, 3カ月以上服用したコレステロール胆石患者10例の胆嚢胆汁のNTは, 16.8±6.7day と有意に延長していた. さらに, コレステロールクリスタルの成長も前者において急速であつた. しかし胆汁中コレステロール飽和度は, 両者間に有意の差を認めず, UDCAのNTに与える影響は主に脂質以外の因子を介して起こることを強く示唆した.
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藤田 直孝, 李 茂基, 矢野 明, 小林 剛, 望月 福治
1988 年 85 巻 8 号 p.
1536-1541
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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宮良 球一郎, 武藤 良弘, 正 義之, 川崎 康彦, 普久原 勉
1988 年 85 巻 8 号 p.
1542-1545
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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大居 慎治, 中井 一仁, 門原 三志男, 川崎 寛中, 平山 千里
1988 年 85 巻 8 号 p.
1546-1550
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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塚島 彰, 辻 博, 梶原 英二, 渡辺 英則, 奥田 誠也, 赤木 公博, 藤島 正敏
1988 年 85 巻 8 号 p.
1551-1554
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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林 守源, 杉浦 仁, 太田 五六, 島崎 英樹, 京井 優典, 中沼 安二
1988 年 85 巻 8 号 p.
1555-1558
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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腹腔鏡下胆汁細胞診の早期診断への有用性
永瀬 寿彦, 中西 孝至, 西川 正博, 黒田 耕平, 松田 泰樹, 大井 守
1988 年 85 巻 8 号 p.
1559-1563
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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大塚 幸雄, 西野 執, 鈴木 誠, 瓜田 純久, 大矢 妙子, 井村 和博, 甲田 正二郎, 横沢 禎二, 大村 一夫, 成木 行彦, 松 ...
1988 年 85 巻 8 号 p.
1564-1568
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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鈴木 博, 鈴木 通博, 加藤 行雄, 岡部 和彦, 打越 敏之, 大島 章, 小幡 賢一, 吉田 真一
1988 年 85 巻 8 号 p.
1569
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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河田 則文, 溝口 靖紘, 小林 絢三, 近藤 洋子, 森澤 成司, 門奈 丈之, 山本 祐夫
1988 年 85 巻 8 号 p.
1570
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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大橋 和史, 金 重輝, 仲間 一雅
1988 年 85 巻 8 号 p.
1571
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー