日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃粘膜傷害に対する内因性プロスタグランディンとロイコトリエンの役割についての検討
辻 晋吾川野 淳松永 隆辻井 正彦林 暢彦佐久 良肇谷村 博久荻原 達雄佐藤 信紘鎌田 武信
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1989 年 86 巻 3 号 p. 694-699

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抄録

5-lipoxygenase の特異的阻害剤であるAA-861と cyclooxygenase 阻害剤のインドメサシンを用い, エタノール性胃粘膜傷害における内因性ロイコトリエンと内因性プロスタグランディンの役割について検討した. AA-861は用量依存性に病変発生を抑制したが, インドメサシンは病変発生に影響を与えず, AA-861との併用時にもAA-861の効果を減弱しなかつた.
レーザードップラー法により粘膜血流速度を検討すると, 対照群, インドメサシン群ではエタノール投与に伴い血流速度が低下したが, AA-861投与群ではその低下は有意に抑制された.
以上より本病変の発生には内因性プロスタグランディンの変動よりもロイコトリエンの増加とそれに伴う粘膜血流の停滞が重要であると考えられた.

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