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特に増殖細胞, 被蓋上皮細胞およびガストリン細胞について
中島 千春, 東 健, 真神 易, 佐々木 善二, 川井 啓市, 井口 秀人, 河合 隆, 関 知之, 原田 容治, 斉藤 利彦
1989 年 86 巻 3 号 p.
685-693
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
著者らは, 胃粘膜の細胞動態におよぼす自律神経系の役割を調べるため, ハムスターに6-OHDAによる化学的交感神経切離術を行い,
3H-thymidine オートラジオグラフィーによる胃粘膜細胞回転を検討した. 化学的交感神経切離後12時間より4週間まで胃底腺, 幽門腺粘膜の増殖細胞と胃幽門腺領域のガストリン細胞のDNA合成期細胞の割合は減少した. さらに, 化学的交感神経切離術により胃幽門腺領域のガストリン細胞の成熟時間は延長する傾向を示し, 胃底腺および幽門腺領域のPAS反応陽性の被蓋上皮細胞の細胞寿命も延長する傾向を示した. 以上より, 交感神経が胃粘膜上皮細胞の増殖および細胞回転の維持, 調節に関与していることが示唆された.
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辻 晋吾, 川野 淳, 松永 隆, 辻井 正彦, 林 暢彦, 佐久 良肇, 谷村 博久, 荻原 達雄, 佐藤 信紘, 鎌田 武信
1989 年 86 巻 3 号 p.
694-699
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
5-lipoxygenase の特異的阻害剤であるAA-861と cyclooxygenase 阻害剤のインドメサシンを用い, エタノール性胃粘膜傷害における内因性ロイコトリエンと内因性プロスタグランディンの役割について検討した. AA-861は用量依存性に病変発生を抑制したが, インドメサシンは病変発生に影響を与えず, AA-861との併用時にもAA-861の効果を減弱しなかつた.
レーザードップラー法により粘膜血流速度を検討すると, 対照群, インドメサシン群ではエタノール投与に伴い血流速度が低下したが, AA-861投与群ではその低下は有意に抑制された.
以上より本病変の発生には内因性プロスタグランディンの変動よりもロイコトリエンの増加とそれに伴う粘膜血流の停滞が重要であると考えられた.
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稲垣 宏, 大久保 憲, 宇佐見 詞津夫, 小谷 彦蔵, 小林 英治, 鈴木 敏行, 浅野 正嗣, 近藤 三男
1989 年 86 巻 3 号 p.
700-706
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
外科的治療に至る消化性潰瘍の危険因子を性, 年齢, 喫煙, 飲酒について検討した. 解析対象は手術例131例, 非手術例177例でありこれらの間で各因子の影響を変数選択法による判別分析を用いて解析した. 胃潰瘍手術症例は高齢者に多くみられ, 十二指腸潰瘍手術症例は若年者に多くみられた. しかし, 性, 喫煙, 飲酒は危険因子とは認められなかつた. またH
2ブロッカーはほとんどの手術例において使用は認められなかつた. つぎに十二指腸潰瘍患者の神経症傾向について検討したが, 手術群では神経症傾向と喫煙, 飲酒に相関関係は認められなかつたが, 保存的治療群においてはともに神経症傾向と正の相関関係を示した.
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脂肪50g含有試験食と, ED療法下バター50g経口負荷との比較
加来 数馬, 古賀 東一郎, 是久 哲郎, 西田 達郎, 八尾 恒良, 奥村 恂
1989 年 86 巻 3 号 p.
707-714
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Crohn 病患者31例と, 健常対照者6例に脂肪50gを含む試験食を投与し, 糞便中脂肪排泄量をVan de Kamer 法で定量した.
糞便中脂肪排泄量は, Crohn 病の回腸限局型と健常対照群の成績の間に有意差は認めなかつた. しかし小腸広範型, 回腸部分切除群, 回腸広範切除群の3群では, 健常群と回腸限局型に比し有意に多かつた. しかしこの3群とも欧米報告例に比べると脂肪排泄量は少ない傾向があり, 特に非手術例は全例10g/day 未満であつた. さらに, 上記の患者群のうち非手術例12例と健常群6例にED療法中にバター50g/day を経口負荷して試験食の成績と便中脂肪量を比較した. 健常群では試験食とED療法中のバター50g/day 負荷とで便中脂肪排泄量に有意の差はみられなかつたが, Crohn 病群でED下にバター負荷を行うと, 試験食に比し糞便中脂肪排泄量は有意に増加した.
以上の成績より, ED療法下のバター負荷試験は, 非手術例 Crohn 病の軽度の脂肪吸収障害を鋭敏に示す有用な検査法であることが示唆された.
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大江 毅, 原田 尚, 後藤 政文, 市川 今朝登, 岩崎 尚彌
1989 年 86 巻 3 号 p.
715-724
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
門脈系の明瞭な画像が得られるよう直腸穿刺法による経直腸門脈シンチグラフィーを開発した. さらに, 心•肝の時間容積曲線から下腸間膜静脈経由の門脈系シャント比 (肝/心比) を求め, また肝初回循環血流指標 (k) を算出し, 各種肝疾患の間で比較した.
本法では, 門脈系シャントが非常に明瞭に描出された. 肝/心比は, 肝硬変症群: 0.32±0.14 (mean±S.D), 非肝硬変症群: 1.401±0.66, であり, 肝硬変症での門脈系シャントの増加が示された. kは, 急性肝炎: 0.221±0.06, 慢性肝炎: 0.156±0.06, 肝硬変症: 0.094±0.06であり, 慢性肝疾患では肝全血流の低下に比べ下腸間膜静脈血流の低下がより顕著になることが示された.
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藤田 善幸, 須川 暢一, 増山 仁徳, Charles E. LUCAS
1989 年 86 巻 3 号 p.
725-730
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
成犬の gastric あるいは colonic serosal vessel を用いて実験的出血モデルを作製し, このモデルを用いて純エタノール局注療法の効果と安全性について検討した. 実験は, 1) 急性出血に対する止血効果, 2) 予防的止血効果の2つに分けて行つた.
その結果, (1)急性出血では血管径1.6mmからの出血に対しては, 純エタノール局注療法は無効であつたが, 径1.0mmでは有効であつた. (2)予防的止血効果は血管径1.6mmでも充分に認められた. さらにエタノール局注の安全性を確認するため, 内視鏡下でイヌの胃粘膜に1mlの純エタノールを局注し, この病変を経時的に観察し, また, 組織検索も行つた. 1mlのエタノール局注ではU1 IIIの潰瘍を形成するがこの潰瘍は3週後には完治していた. 現在臨床的に用いられている注入量では充分安全域にあると思われた.
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浦島 左千夫, 佐藤 博之, 高田 昭
1989 年 86 巻 3 号 p.
731-735
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
大量消化管出血時の血清尿素/クレアチニン (S-Ur/Cr) 比測定の出血部位の診断に対する有用性について検討した. 上部消化管出血36例ではその比は119.1±40.0で, 下部消化管出血23例の54.1±12.1, 非出血例50例の58.4±10.3より有意に高い値を示した. 下部消化管出血例では, 全例この比は81以下で, 一方, 上部消化管出血例では消化管腔への血液流入量の少ないと考えられた6例以外はすべて81以上の値を示した. 上部消化管出血例ではS-Ur/Cr比は, 出血後3日目までに高値を持続した. 以上のごとく, 出血後第3病日までのS-Ur/Cr比の測定は, 消化管出血部位の鑑別に簡便で有用な方法であると考えられた.
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加藤 昇
1989 年 86 巻 3 号 p.
736-747
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
特発性門脈圧亢進症 (IPH) の成因に関する免疫学的検討の一端として, 本症の末梢血, 肝•脾のリンパ球 subset を中心に検索した. IPHの末梢血では健常人に比し Leu2a
+細胞%の低値, Leu3a/Leu2a比の高値がみられた. IPH脾では正常脾に比し赤脾髄の占める面積比が大きく, 肝硬変症脾に比べ赤脾髄でのLeu2a
+細胞密度が高かつた. また, 脾内のLeu2a
+細胞の大多数はLeu2a
+•15
-細胞と推察された. 濾胞では正常脾に比べ濾胞径, 胚中心径の増加がみられ, B
1+細胞の他, 胚中心•周辺層で Leu3a
+細胞の増加がみられた. IPH肝では硬変肝に比し浸潤リンパ球の subset には差はみられないが, 浸潤は極めて軽度であつた. これらの成績はIPHの成因に何らかの免疫異常の関与を示唆するものと思われた.
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大宮司 有一
1989 年 86 巻 3 号 p.
748-758
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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HBe抗原陽性慢性活動性肝炎 (e-CAH) におけるインターフェロン-β (IFN-β) の免疫学的作用機序を解明する目的で, IFN-β(300~600万単位, 28日間) 治療前後の末梢血単核球サイトカイン産生能を20例に測定した. 治療前はIFN-γとIL-1β産生量が有意に低下し, 治療後に前者は正常化したが, IL-1β産生量は不変で, マクロファージ機能異常が残存した. 治療前のIL-2産生能は異常なく, またe抗原消失群 (9例) と不変群 (11例) との間にもサイトカイン産生能の差はなかつた. 以上より, e-CAHに対するIFN-β投与の免疫学的修飾作用は部分的で, 治療効果と直接には相関しない可能性が示唆された.
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木岡 清英, 溝口 靖紘, 市川 裕三, 久保井 広志, 申 東桓, 阪上 吉秀, 小林 絢三, 森沢 成司, 山本 祐夫
1989 年 86 巻 3 号 p.
759-763
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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免疫, 炎症反応を増幅すると考えられる血小板活性化因子 (PAF) が肝粘着性細胞から産生されるか否かについて検討した. その結果, 肝粘着性細胞をカルシウムイオノフォアで刺激するとPAFが産生されることが確認された. また, Propionibacterium acnes の加熱死菌を静注して肝内に細胞浸潤を誘導すると肝臓でのPAF産生量は無処置のマウスに比べて有意に増加することが明らかとなつた.
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特に急性肝不全における総頚動脈血流量の低下とその発現機序について
小森 裕文, 冨田 栄一, 村上 啓雄, 森脇 久隆, 武藤 泰敏
1989 年 86 巻 3 号 p.
764-772
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性肝不全において, 超音波ドプラ法を用い総頚動脈および上腕動脈の血行動態について経時的に観察した. 一部の症例では, Swan-Ganz catheter, 頭部CT検査, 頭蓋内圧 (ICP) 測定を施行した. その結果, 急性肝不全では, 心拍出量, 上腕動脈血流量は著増し, hyperdynamic state にあるにもかかわらず, 総頚動脈血流量は対照的に低下していた. また頭部CT検査における内頚動脈領域の白質のCT値は, 対照群に比し急性肝不全で低値を示し (p<0.01), 総頚動脈血管抵抗と負の相関 (p<0.01) を認めた. さらにICPを挿入した症例では, 総頚動脈血流量とICPは"mirror image"を示しながら推移した. 以上より急性肝不全における総頚動脈血流量の低下は, 脳浮腫に伴なう頭蓋内圧の上昇が一因をなしていることが示唆された.
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第1報 雑犬による血流測定
本橋 修, 草野 正一, 中山 茂信
1989 年 86 巻 3 号 p.
773-780
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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雑犬26匹を用い, 血管作動物質を腹腔動脈から持続注入しながら, 総肝動脈と門脈の血流量及び肝組織血流量を, 全身循環動態観察下に同時測定した. Prostaglandin F
2α (PG) 0.025~0.05μg/kg/min 及びAngiotensin II (AT) 0.05μg/kg/minの注入は, 総肝動脈と肝組織血流量を減少させ, 門脈血流量には有意な変化を示さない. PG及びAT 0.5μg/kg/minの注入では, 総肝動脈血流変化は二相性で, 注入早期に減少しこの後有意に増加した (p<0.05). また門脈血流は減少したが, 肝組織血流量は維持された. PG 1.0μg/kg/min注入では, 総肝動脈, 門脈及び肝組織血流量はすべて減少した. Dibutyryl cyclic AMP (DBcAMP) 2.0mg/kg/hr注入は, 総肝動脈, 門脈及び肝組織血流量を増加させ, DBcAMP前投与は続くPG 1.0μg/kg/min注入の作用を減弱した.
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秋元 公彦, 峯 徹哉, 佐藤 栄一, 大西 洋英, 藤崎 順子, 尾形 悦郎
1989 年 86 巻 3 号 p.
781-785
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
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ヒト胆石を植え込んだ雑種成犬を作成し, 体外式衝撃波結石破砕法 (ESWL) の基礎的検討を行なつた. 径1cm大のコレステロール結石の場合, 衝撃波の照射回数が600回以上では残存結石の最大径が2ミリ以下となつた. 血清トランスアミナーゼ (GOT•GPT) の値は衝撃波の回数が増加するのに伴い上昇した. 発生数が600回以上では時間と共にGOT•GPTいずれも上昇する傾向を示した. これらの成績から, 自然排出又は経口胆石溶解剤使用により, 胆石1個の場合は衝撃波の回数は600回でも十分である可能性が示唆された. 又衝撃波の照射回数が600回を越えると, 衝撃波による肝臓の障害が生ずると考えられる.
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インスリン注入パターンと夜間のグルコース注入パターンの解析
吉田 洋一, 小泉 勝, 阿部 直司, 石塚 仁, 真山 享, 後藤 由夫
1989 年 86 巻 3 号 p.
786-792
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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インスリン治療中の膵性糖尿病患者に高頻度にみられる夜間の低血糖を解明する目的で, 慢性膵炎発症後に糖尿病の発症を認めた11名の膵性糖尿病患者(PD群)と, 膵疾患を認めない10名のIDDM患者 (DM群) に, Miles 社の閉回路式人工膵 (Biostator GCIIS) を用いて, 24時間の feed back control を行なつた.
一日の総注入インスリン量に両群間に差を認めなかつたが, 注入パターンに差を認めた. PD群は, 食後の注入が大半を占め, DM群は食間•夜間にも注入の割合が多かつた. グルコース注入で示される90mg/dl以下の血糖は, PD群11例中7例, DM群10例中2例に認められ, その大半が夜間に認められた.
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松橋 信行, 大西 真, 油谷 浩幸, 菅野 健太郎, 井廻 道夫, 高久 史麿, 小西 文雄
1989 年 86 巻 3 号 p.
793-797
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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茂木 文孝, 小暮 道夫, 関口 利和, 道又 敏夫, 竹沢 二郎, 飯塚 明男, 町田 守也, 堀越 勤, 松崎 勉, 草野 元康, 西岡 ...
1989 年 86 巻 3 号 p.
798-802
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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松村 雅幸, 関谷 祐之, 吉次 通泰, 庵 政志, 武村 民子
1989 年 86 巻 3 号 p.
803-807
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
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倉井 修, 仲島 信也, 黒木 哲夫, 新谷 真知子, 西口 修平, 塩見 進, 小林 絢三, 門奈 丈之
1989 年 86 巻 3 号 p.
808
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー