日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性肝炎の経過と予後予測に関する研究
血清N末端プロコラーゲンペプチド値と血清ラミニン値測定の有用性の検討
平田 りえ
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1989 年 86 巻 4 号 p. 905-912

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抄録

慢性肝炎の予後を予測する臨床的指標を検索する目的で, 免疫学的指標として血中肝細胞膜抗体(LMA), 肝線維化の指標として血清N末端III型プロコラーゲンペプチド (P III P) とラミニン値を2回以上肝生検施行例 (32例) の生検時に測定し, 肝組織像の推移との関係を検討した. 肝組織像が悪化した16例の初回肝生検時血清 P III P 値は, 非悪化例 (16例) のそれより高値であつた (p<0.05). 一方, 血清ラミニン値は, 肝線維化の程度と相関したが, 悪化群と非悪化群との間には差はなかつた. LMA陽性率にも差はなかつた. 以上より, 慢性肝炎における血清 P III P 高値は肝炎の進展を示唆すること, 血清ラミニン値は測定時の肝線維化の程度の把握に有用と考えられた.

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