1989 年 86 巻 5 号 p. 1058-1069
外科切除例の初回病理診断で, 分類不能の小腸•大腸炎 (enterocolitis unclassified, ECUと略) と診断された16例16病変 (非腫瘍性腸疾患542病変の3.0%で, 15例は潰瘍性病変, 1例は隆起性病変) を再検討し, 既知疾患との類似性を検討した.
活動性11例のうち8例 (72.7%) は, 潰瘍性大腸炎 (1例), 腸結核 (1例), 蜂窩織炎性腸炎 (1例) および感染性腸炎の疑い (5例) に分類された. 治癒性5例は, 原疾患を確定できなかつたが, 虚血性大腸炎の疑い (1例), 感染性腸炎の疑い(2例), 虚血性回腸炎の疑い (1例), クローン病または潰瘍性大腸炎の疑い (1例) に分類された.
残りの活動性病変3例のうち, 回盲弁上の円形潰瘍2例と多発性の隆起性腫瘍様病変1例は, 再検討後も分類不能の病変 (狭義のECU) とされた.
ECUとされたものの81.3%は, 病理形態学的再検討のみで既知疾患に再分類されえた. 結局, 分類不能例は0.6% (3/542) となり, この中には新しい疾患と考えられる病変が存在する可能性がある.