日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵管分枝閉塞による慢性膵炎の初期像
微細粒子 (microsphere) を用いた実験的慢性膵炎モデルでの検討
佐々木 幸則小針 雅男中村 隆司松野 正紀
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 87 巻 5 号 p. 1203-1211

詳細
抄録

膵管分枝閉塞による慢性膵炎の初期像を検索する目的で, 慢性膵瘻犬5頭を用いて膵管分枝に微細粒子を注入して慢性膵炎モデルを作成し, 膵内外分泌機能と形態像を経時的に観察した. セクレチン刺激下に分取した純粋膵液の液量, 重炭酸イオン排出量, アミラーゼ排出量は経時的に有意に低下し, 粘稠度はヘキソサミン濃度とともに有意に上昇した. また, 組織学的にも慢性膵炎が確認された. 以上より, 膵管分枝閉塞による慢性膵炎モデルでの膵炎進行の機序としては, 膵液量減少に伴う膵液の濃縮とヘキソサミン濃度の上昇による膵液粘稠度の増大が関与するものと考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top