1990 年 87 巻 6 号 p. 1343-1349
EOを用いた内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) 時にHpを投与し, その影響を血中遊離 hemoglobin (FHb) の変動と腎機能の変化より検討した. 対照群において血中FHb量の増加 (ΔFHb) はEOの静脈瘤内注入量と正の相関を示した. そしてこれらの症例では, EIS直後に遊離Hpが血中より消失した. しかしHp投与群ではFHbの増加はなく遊離Hpの減少も認められなかつた. 対照群では尿中β2-microglobulin, NAGの増加が認められたがHp投与群では認められなかつた. 以上より, EOを静脈瘤内に大量注入する可能性の高い初回EIS時にHpを投与すれば, 血中FHbの増加も認められず, 腎機能障害の可能性も低下すると考えられた.