日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
食道静脈瘤硬化療法時ハプトグロビン使用の有用性に関する検討
松本 章夫三好 博文高田 興林 勝吉浅田 修二平田 一郎大柴 三郎
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1990 年 87 巻 6 号 p. 1343-1349

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抄録

EOを用いた内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) 時にHpを投与し, その影響を血中遊離 hemoglobin (FHb) の変動と腎機能の変化より検討した. 対照群において血中FHb量の増加 (ΔFHb) はEOの静脈瘤内注入量と正の相関を示した. そしてこれらの症例では, EIS直後に遊離Hpが血中より消失した. しかしHp投与群ではFHbの増加はなく遊離Hpの減少も認められなかつた. 対照群では尿中β2-microglobulin, NAGの増加が認められたがHp投与群では認められなかつた. 以上より, EOを静脈瘤内に大量注入する可能性の高い初回EIS時にHpを投与すれば, 血中FHbの増加も認められず, 腎機能障害の可能性も低下すると考えられた.

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