日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
十二指腸盲管法による実験的急性膵炎に対する蛋白分解酵素阻害剤続動注療法の効果
角川 陽一郎武田 和憲砂村 真琴川口 信哉小針 雅男松野 正紀
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1990 年 87 巻 6 号 p. 1444-1450

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抄録

雑種成犬を用い, 十二指腸盲管法にて16時間後に出血性膵炎を認めたものを対象に蛋白分解酵素阻害剤続動注療法の効果を検討した. 盲管を解放後, 無治療対照群, Nafamostat mesilate(FUT-175)の持続静注群 (5μg/kg/分), 同量の腹腔動脈からの持続動注群の3群に分けた. 24時間後の膵組織内FUT濃度は静注群•動注群それぞれ905ng/g, 4453ng/gとなつた. 膵組織内 trypsin 活性は対照•静注•動注群それぞれ2.1, 1.4, 0.7nmol/min/mg蛋白, 膵の実質に対する壊死面積比はそれぞれ49.5, 25.6, 12.4%と動注群で著明に抑制された. また, 血清Ca値や, amylase, lipase 値も改善し, 重性急性膵炎に対する本法の有用性が示された.

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