日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性肝疾患, 肝癌における肝線維化マーカーの検討
type III procollagen peptide, lamininP1, prolyl-hydroxylase を対比して
井上 徹船木 直也籏原 照昌五十嵐 省吾金子 栄蔵田中 博
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1990 年 87 巻 7 号 p. 1506-1513

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抄録

慢性肝疾患, 肝癌患者血清について, type III procollagen peptide, laminin P1, prolyl-hydroxylase を同時に測定し, 分散分析, 慢性肝炎組織像, 判別分析, 腹部CTより概算した腫瘍容積と対比し, どのマーカーが肝線維化の診断に有用か検討した. P-III-Pと laminin P1は慢性肝炎で肝炎の活動性と相関し, 肝硬変代償期と非代償期, 肝硬変と原発性肝癌の判別関数が最も高かつた. また lamininP1は慢性肝炎と肝硬変の判別に有用であり, P-III-Pは原発性肝癌で腫瘍容積と有意に相関した. しかし, PHは慢性肝炎組織像, 判別関数, 腫瘍容積すべてに有意な相関を認めなかつた.
以上より, P-III-P, laminin P1が肝線維化の血清マーカーとして有用であると考えられた.

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