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前田 宜包
1990 年 87 巻 7 号 p.
1483-1490
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラットにエンドトキシンを静脈内投与したところ, 約6時間で急性胃粘膜病変 (AGML) が発生したが, 従来AGML発生で重要視されていた粘膜血流の低下は見られなかつた. 胃粘膜内 thiobarbituric acid (TBA) 反応物質量は3時間で189±18.2と増加していた (対照群130±18.2), 血小板活性化因子 (PAF) 阻害剤のCV3988はAGMLの発生, TBA反応物質量の増加を抑制した. 以上よりエンドトキシン血症時には, 粘膜血流が低下しなくても, PAFなどの chemical mediator やフリーラジカルを介して粘膜障害が発生する可能性が示唆された.
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若林 貴夫, 中澤 三郎, 芳野 純治, 山雄 健次, 乾 和郎, 山近 仁, 荒川 明, 岸 克彦, 度会 京子, 奥村 泰明, 渡辺 健 ...
1990 年 87 巻 7 号 p.
1491-1498
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ステレオ電子内視鏡とパーソナルコンピューターより成る計測システムで, 胃内の計測を行つた. 長さ10mmから50mmまでの対象を, レンズからの距離と角度を変化させて計測を行うと, 計測誤差は8.5%以下にとどまつた. 模型の胃壁に円盤を塗布し, 内視鏡的に直径を計測したところ, メジャー鉗子を使用したのに対し本システムを使用した場合の計測誤差, 検査の所要時間は著明に改善された. また, 胃病変を有する6症例につき胃の病変部および健常粘膜における計測を行い, 新鮮切除標本における長さと比較すると, 健常粘膜部に対し病変部は基礎的検討とほぼ同等の精度を得た. 本システムの信頼性は高く, 臨床使用に耐えられると思われる.
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エトキシスクレロール•エタノール併用局注止血法による止血の試み
成宮 徳親, 渡部 真理, 岩崎 仁彦, 杉本 泉, 武内 力, 渡辺 俊明, 鎌倉 広俊, 石戸 浩之, 鈴木 義信, 井上 冬彦, 永山 ...
1990 年 87 巻 7 号 p.
1499-1505
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Dieulafoy 潰瘍の粘膜下層での破綻血管走行の特徴を検討し, またエトキシスクレロール, エタノールを用いた局注止血法による止血治療を試みた. 1) 連続切片標本を作製し血管走行を検討した結果, Dieulafoy 潰瘍の破綻血管は, 血管側面部で破綻し, 多くの症例で潰瘍辺縁部をこえ粘膜下層を長く横走していた. 2) 内視鏡的止血治療にあたつては, 出血源となつた血管破綻部のみではなく, 粘膜下層に存在する破綻血管全体の血栓化により, より確実な止血が得られるものと思われた. 3) Dieulafoy 潰瘍4例にエトキシスクレロール•エタノール併用局注止血法を施行したが, 施行した4例全例に完全止血が得られた.
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type III procollagen peptide, lamininP1, prolyl-hydroxylase を対比して
井上 徹, 船木 直也, 籏原 照昌, 五十嵐 省吾, 金子 栄蔵, 田中 博
1990 年 87 巻 7 号 p.
1506-1513
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患, 肝癌患者血清について, type III procollagen peptide, laminin P
1, prolyl-hydroxylase を同時に測定し, 分散分析, 慢性肝炎組織像, 判別分析, 腹部CTより概算した腫瘍容積と対比し, どのマーカーが肝線維化の診断に有用か検討した. P-III-Pと laminin P
1は慢性肝炎で肝炎の活動性と相関し, 肝硬変代償期と非代償期, 肝硬変と原発性肝癌の判別関数が最も高かつた. また lamininP
1は慢性肝炎と肝硬変の判別に有用であり, P-III-Pは原発性肝癌で腫瘍容積と有意に相関した. しかし, PHは慢性肝炎組織像, 判別関数, 腫瘍容積すべてに有意な相関を認めなかつた.
以上より, P-III-P, laminin P
1が肝線維化の血清マーカーとして有用であると考えられた.
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特に細胞密度について
中島 収, 清松 和光, 家村 昭日朗, 枝光 理, 杉原 茂孝, 神代 正道
1990 年 87 巻 7 号 p.
1514-1519
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
外科的に切除された腫瘍径2cm以下の肝細胞癌 (肝癌) 15例, 脂肪化•淡明化を伴う肝癌6例, 過形成結節7例, 癌を内包する過形成結節5例における癌部, 非癌部, 過形成結節部, 非結節部の細胞密度について比較検討した. 高分化肝癌は細胞の小型化と共に核•胞体比の増大をみ, この結果著明な細胞密度の増加を特徴とし, 通常非癌部の約2倍であつた. 脂肪化•淡明化を伴う肝癌では脂肪や糖質の蓄積による胞体の腫大のため細胞密度の増加が明らかでなく, 脂肪化を伴う過形成結節やその他の結節性病変との鑑別に注意を要する. 過形成結節は細胞密度の増大の著明なものとそうでないものに大別でき, 前者では癌を内包する頻度が高かつた.
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柏木 徹, 福井 弘幸, 小塚 隆弘, 木村 和文, 笠原 彰紀, 佐藤 信紘, 鎌田 武信, 東 正祥, 松田 裕之, 満谷 夏樹, 小泉 ...
1990 年 87 巻 7 号 p.
1520-1524
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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下腸間膜静脈血流の肝内分布を
123I-iodoamphetamine (IMP) 直腸内投与による肝イメージと
99mTc-フチン酸静注による肝シンチグラムを対比して検討した. 対象は非肝疾患12例である. IMPの肝内分布パターンは両葉分布5例, 左葉優勢分布5例, 右葉優勢分布2例であつた. さらに, 肝葉内での分布が一様でない不均一分布が, 両葉分布5例中2例, 左葉優勢分布5例中4例, 右葉優勢分布2例中1例に認められた. 初回左葉優勢分布に分類された1例で, 2回目は両葉分布を示し, 分布パターンの再現性は認められなかつた. 以上から, 門脈支流血流の肝内分布は一様でなく, 従来考えられていた右葉, 左葉といつたレベルの偏り以外に, より小さな領域での不均一分布の存在が明らかにされた.
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男性同性愛好者の感染
前田 清, 吉川 和彦, 寺尾 征史, 山本 祐夫, 梅山 馨
1990 年 87 巻 7 号 p.
1525-1531
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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大阪社会医療センターにて過去5年間に経験した10例の赤痢アメーバ症の臨床的検討を行つた. 性別は全例男性で, 平均年齢は41歳であつた. 既往歴では海外渡航歴は全例認められず, 7例 (70%)に男性同性愛好者を認めた. 各種血清学的検査ではアメーバ抗体 (ゲル内沈降反応) 100% (6/6), 梅毒反応 (TPHA法) 60% (6/10) の陽性率を呈したが, AIDS抗体は0% (0/3) であつた. 赤痢アメーバの検出率は便中で70% (7/10), 肝膿瘍膿汁中で50% (2/4), 直腸生検粘膜で25% (1/4) であつた.
以上, 本症の診断には血清アメーバ抗体の測定が有用で, また, 感染経路としてホモ行為による感染が疑われた.
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飯野 四郎, 藤山 重俊, 堀内 清, 徐 慶一郎
1990 年 87 巻 7 号 p.
1532-1536
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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凍結乾燥不活化A型肝炎ワクチン (DCK-171)の安全性と免疫原性をみる目的で臨床試験を行つた. ワクチンはデンカ生研, 千葉血清研, 化血研で開発した. HA抗体陰性の36名の健常成人男子を無作為的に3群に分割し, 1.0μg, 0.5μg, 0.25μgを各々初回, 4週後, 24週後の3回筋注した. 合計99回の接種で16回に局所疼痛を主とする軽度の副反応がみられたが, 血液•尿検査で異常は認めなかつた. HA抗体価は2回接種後4週で1.0μg, 0.5μg, 0.25μg群の順に562mIU/ml, 323mIU/ml, 138mIU/ml, 3回接種後4週で同様に, 3630mIU/ml, 1288mIU/ml, 1000mIU/mlであつた. 以上の結果より使用した凍結乾燥不活化A型肝炎ワクチンは, 安全であり, 免疫原性があることが確認された.
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松下 栄紀, 鵜浦 雅志, 稲垣 豊, 寺田 光宏, 野ツ俣 和夫, 清水 元茂, 金子 周一, 小林 健一, 服部 信, 荒井 和徳, 角 ...
1990 年 87 巻 7 号 p.
1537-1543
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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肝細胞癌 (HCC) に対する経皮的エタノール注入療法 (PEIT) に伴う肝内門脈血流の変化を, 経動脈性門脈造影下連続CT (CT-AP) 法を用いて検討した. その結果, PEITを施行された8例全例でCT-AP上, 腫瘍末梢正常肝区域に楔状の門脈血流障害が認められた. 一方, 造影CTでは同部位に異常は認められず, 門脈血流の選択的障害が存在することが示された. PEIT後切除例での組織学的検討では, 門脈内に器質化した血栓が認められたことから, 門脈血流の障害は腫瘍内に注入したエタノールがHCCの drainage vein である門脈内に流出し閉塞性門脈炎を起こすために生じたと考えられた. HCCに対する治療法として, PEITの意義, 副作用を考える上で重要な所見と考えられた.
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山中 洋一郎, 恩田 昌彦, 内田 英二, 小林 匡, 笹島 耕二, 徳永 昭, 田尻 孝, 江上 格, 浅野 伍朗
1990 年 87 巻 7 号 p.
1544-1550
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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膵臓癌切除標本の癌部および膵炎, 正常膵組織について上皮増殖因子 (EGF) とそのレセプター (EGFR) の免疫組織化学的検討を行つた. 対象はヒト膵臓癌25例で, そのうち13例はリンパ節転移巣も検索した.
EGF, EGFR陽性例は各々18/25 (72%), 9/25 (36%) で, EGFR陽性例はすべてEGF陽性を示した. EGF, EGFR陽性例は分化型や原発巣に高率にみられ, 肉眼所見でT
1の2例はEGF, EGFRいずれも陰性で, Stage II群より Stage III+IV群でEGF, EGFRの陽性率が高かつた. 特にEGFは, 分化型や進行例で有意な差がみられた. 以上より, 膵癌細胞の増殖, 分化にもEGF, EGFRが関与し, 転移には他の機構も働いている可能性が示唆された.
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安武 晃一, 吉村 幸男, 今村 諒道, 大家 学, 松下 健次, 時末 充, 増田 忠之, 大野 繁一
1990 年 87 巻 7 号 p.
1551-1555
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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綾部 時芳, 蘆田 知史, 村上 雅則, 谷口 雅人, 北守 茂, 柴田 好, 原田 一道, 岡村 毅與志, 高杉 佑一, 並木 正義
1990 年 87 巻 7 号 p.
1556-1562
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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陳 書顕, 遠藤 修, 星野 真人, 古河 哲哉, 中村 三郎, 岡崎 博, 田中 克明, 益村 真, 井上 修二, 高邑 裕太郎
1990 年 87 巻 7 号 p.
1563-1567
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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金田 邦彦, 具 英成, 斎藤 洋一
1990 年 87 巻 7 号 p.
1568-1572
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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高山 豊, 万代 恭嗣, 小山 広人, 小野 稔, 高添 正和, 瀬田 克孝, 北村 成大, 出月 康夫
1990 年 87 巻 7 号 p.
1573-1576
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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木村 修二, 荒川 哲男, 河田 佳代子, 福田 隆, 樋口 和秀, 佐藤 博之, 小林 絢三
1990 年 87 巻 7 号 p.
1577
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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柏木 徹, 福井 弘幸, 小塚 隆弘, 木村 和文, 笠原 彰紀, 佐藤 信紘, 鎌田 武信, 東 正祥, 満谷 夏樹, 小泉 岳夫
1990 年 87 巻 7 号 p.
1578
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー