日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
原発性胆汁性肝硬変男性例に関する臨床的検討
柴田 実上野 幸久吉田 直哉山室 渡久保 修一島田 長樹岡田 正佐藤 源一郎羽鳥 知樹小野塚 靖寺内 一三
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1990 年 87 巻 9 号 p. 1846-1850

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抄録

原発性胆汁性肝硬変 (PBC) の男性10例と女性23例を比較し, 性差の影響を検討した. 年齢および血液検査成績には男女差はなく, 自己免疫異常に関連した症状 (Sicca症候群, Raynaud 症候群, 関節痛) は女性に高率で, 男性には1例もなかつた. 無症候性PBCの比率および Scheuer II期以下の肝組織は男性に多かつた. 臨床経過は男性は64カ月間の平均観察期間で死亡したり症候性に移行したものはなく, 組織学的に悪化したものもなかつたが, 女性は47カ月の平均観察期間で3例が死亡し組織学的にも臨床的にも進行したものが多かつた. 以上より, 男性PBCは血液検査成績は女性と類似したが, 臨床的には無自覚で進行性に乏しい予後良好例が多いと考えられた.

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