日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
閉塞性黄疸肝における阻血•再灌流侵襲時の肝細胞障害に関する基礎的検討
伊藤 博宮崎 勝宇田川 郁夫越川 尚男奥井 勝二
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1991 年 88 巻 5 号 p. 1200-1207

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抄録

閉塞性黄疸時の阻血•再灌流侵襲に対する肝細胞の脆弱性につきラットを用い基礎的検討を行つた. 肝組織血流量は黄疸期間の延長に伴い低下し, 肝組織内過酸化脂質値, ライソゾーム酵素 cathepsin Dの fragility index は黄疸期間の延長と共に増加した. これらより閉塞性黄疸肝における細胞膜障害, 及び lysosomal membrane の脆弱性の亢進が示された. 一方, 閉塞性黄疸作成後に部分肝阻血•解除を施行した際には, 正常肝に比し, 肝組織過酸化脂質はより強い上昇を示すと共に黄疸期間の延長した群で生存率の著明な低下を認め, さらに組織学的変化の上からも阻血•再灌流侵襲が閉塞性黄疸肝でより強い細胞障害を惹起することが示唆された.

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