1992 年 89 巻 1 号 p. 17-27
潰瘍性大腸炎 (UC) 30例を対象として免疫組織化学的検討を行つた. UC大腸粘膜のリンパ球サブセットの検討では, 正常対象群および感染性大腸炎群と比較し, CD4/CD8比には変化を認めなかつたが, CD28/CD3比は Matts 分類の grade 3以上で上昇しており, 多くがLFA-1αにも陽性であつた. また, grade 4, 5群の粘膜固有層上層には, S-100蛋白β陽性の樹状細胞およびCD68陽性のマクロファージの増加が認められ, それらの単核球の多くがICAM-1にも陽性であつた. 以上より, UCの大腸粘膜では, 樹状細胞をはじめとする単核球により, リンパ球への抗原提示およびその活性化が行われている可能性が示唆された.