日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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Borrmann 3型胃癌に由来するヒト低分化型胃癌培養細胞株MKK-1の樹立と基礎的検討
井原 厚
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1992 年 89 巻 11 号 p. 2645-2654

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抄録

Borrmann 3型胃癌患者の原発巣から癌細胞を分離培養し, 胃癌細胞株MKK-1の樹立に成功した. この癌細胞は, リンパ球様の形態を示し, 単独あるいは, 塊状に癒合し, 単層性, 付着性増殖形式を示した. 倍加時間は, 約12.6時間, 染色体数モードは, 69と正3倍体を示し, 全体の48%を占めた.継代7日目の培養上清中の carbohydrate antigen 19-9は4U/mlと, 経日的な産生の増加が認められた. ヌードマウスの皮下への異種移植は, 全例に腫瘤形成を認め, 組織学的にも原発巣の組織像と一致した. 免疫染色では, 抗CEA, 抗CA19-9抗体の両者に陽性を示した. また, ヌードマウス皮下移植後4週目の血中のCEA, CA19-9は, 8.93ng/ml, 44U/mlと高値を示し, 腫瘍重量の増加と産生の間には, 正の相関を認めた.

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