日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
小肝細胞癌における血管造影の診断的有用性
特に他検査所見との比較による検討
岩崎 正彦吉川 正治江原 正明税所 宏光大藤 正雄近藤 福雄
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1992 年 89 巻 11 号 p. 2682-2692

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抄録

小肝細胞癌における血管造影の診断的有用性を明らかにするため, 主腫瘍径3cm以下120例にて血管造影所見と病理組織, 造影CT, 超音波検査所見の相互関係につき比較した. 径2cm以下及び径2~3cmの主腫瘍に対する血管造影の確定診断率はそれぞれ44.9%と68.6%であつた. 径2cm以下の主腫瘍では, 腫瘍血管陰性は Edmondson I型, 脂肪変性を示す例に高率であつた. また腫瘍濃染陰性は非癌部肝実質濃染が不均一であり, かつ Edmondson I型や正索状型を示す例に高率であつた. 主腫瘍径3cm以下の例では, 非癌部肝実質のエコー像が有結節型を示す例は無結節型に比べ超音波検査による衛星結節の検出が困難であり, 血管造影が診断に有効であつた.

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