1992 年 89 巻 4 号 p. 1139-1146
消化器進行癌75例を対象に, 経直腸的超音波断層法 (TRUS) による Schnitzler 転移の描出を試み, 診断能を検討した. 直腸指診断 Schnitzler 転移診断能は感度62.9%•特異度75%で, TRUSの診断能は感度82.9%•特異度97.5%であつた. TRUSは有意に直腸指診よりも優れていたが, 粟粒型•結節型•硬化型のうち粟粒型の診断は困難であつた. TRUSの腹水診断能は感度75%•特異度93%で, 通常超音波検査に比し, 特異度に有意差はみられず感度が良好であつた. TRUS上Schnitzler 転移陽性例や腹水陽性例の平均生存期間は, 所見陰性例に比し短縮していた. 以上のごとく, TRUSにより Schnitzler転移と腹水貯留の安全, 簡便かつ客観的な診断が可能となつた.