日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
レセプターイメージングによる肝機能評価
臨床的有用性の検討
工藤 正俊池窪 勝治藤堂 彰男三村 純岡部 純弘樫田 博史平佐 昌弘伊吹 康良冨田 周介小森 英司織野 彬雄日野 恵
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1992 年 89 巻 6 号 p. 1349-1359

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抄録

アシアロ糖タンパクレセプターに特異的に認識結合される合成アナログリガンド Galactosyl Human Serum Albumin (GSA) を Technetium-99m で標識した製剤TcGSA3mg (185MBq) を種々の肝疾患患者54例および肝機能正常の対照群3例に投与し, レセプターイメージングによる肝機能評価を行つた. レセプターイメージングによる肝機能の指標としてTcGSA投与後15分における肝の放射活性を肝と心の放射活性の和で除したものを Receptor Index として算出した. またGSAの薬理代謝モデルをもとに3コンパートメントモデルから非線形動態解析を行つて得られた Receptor の指標[R]oも算出した. Receptor Index や[R]oは健常人, 肝障害の程度の軽症群, 中等症群, 重症群の間で有意の差を認めた. また閉塞性黄疸を伴う肝硬変症や著明な門脈大循環短絡を伴う肝硬変症および術後肝においても, Receptor Index は肝機能予備力に応じた正確な指標を提供することが可能であつた. 以上より, レセプターイメージングより得られる指標 Receptor Index や[R]oは, 新しい肝機能検査法として有用と考えられた.

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