日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵癌関連SPan-1抗原の血中存在様式と Lewis 抗原決定基との関係
鄭 容錫山下 好人澤田 鉄二金銅 康之金 光司乾 嗣昌小野田 尚佳久保 俊彰仲田 文造曽和 融生
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1992 年 89 巻 7 号 p. 1442-1449

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抄録

膵癌関連シアリル化糖鎖抗原である SPan-1抗原の血中存在様式とLPDとの co-expression を培養癌細胞株と患者血清を用いて検討した. 癌細胞株上清および患者血中でのSPan-1抗原は高分子としてのみ存在するもの, MWの多様性を示すものなどが認められたが, 検討した膵癌細胞4株はすべて多様性を示した. 癌患者血中の同一分子上での SPan-1抗原とLPD(I型) とのco-expression は Lewis(a+, b-; a-, b+) 症例では全例, II型糖鎖の Lewis xとは1例にのみ認められたが同一分子上での各epitope の population は SPan-1の epitope が最も多かつた. Lewis(a-, b-)症例では SPan-1抗原とLPDとのco-expression はほとんど認められなかつた. 以上, SPan-1抗原分子量の heterogeneity が示唆され, それら同一分子上でのI型糖鎖 (Lewis a, Lewis b) との共存が高頻度に認められたが, 分子上での SPan-1 epitope の高率の発現は悪性疾患に特徴的とおもわれた.

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