日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
潰瘍性大腸炎の長期経過
松井 敏幸飯田 三雄末兼 浩史富永 雅也八尾 恒良櫻井 俊弘瀬尾 充岡田 光男野見山 祐次渕上 忠彦中野 元吉永 一彦
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1993 年 90 巻 2 号 p. 134-143

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抄録

潰瘍性大腸炎症例のうち10年以上経過例124例の長期予後を分析した. 最近数年間の臨床経過より長期予後を良好, 中等, 不良の3段階に分けると, その比率は約2:1:1であった. 初発時より経年的に活動年を有する頻度をみると, 次第に減少する傾向が観察され, 長期予後3群別にみると, 3群間に有意差がみられた. また初回治療前未治療期間の長いこと, 初発時重症度が重いこと, および高齢発症は予後不良の因子であった. 手術例は26例 (21.0%) あり, 発症10年後の累積手術率は16.5%で, 10年以後も手術率は上昇した. 悪性腫瘍併発例は3例, 異型上皮巣併発例は1例にみられた. 死亡例は6例であった. 累積生存率は期待生存率と有意差がなかった.

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