日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
十二指腸乳頭近傍の総胆管十二指腸瘻の臨床的検討
膵管胆管分離開口との関係
中野 知幸藪田 育男下村 英明
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1994 年 91 巻 1 号 p. 57-65

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抄録

1980年から1990年にERCPで胆管造影した1293例を対象に検討した結果, 傍乳頭総胆管十二指腸瘻 (PCDF) は42例 (3.2%) にみられた. 10歳ごとに区切った対象中のPCDFの頻度は高齢化に従って増加し, PCDFは後天性疾患と考えられた. 乳頭開口部と瘻孔間が挿管か造影で確認されたPCDF確診群 (31例) と, 未確認で膵管胆管分離開口 (Mehnen I型) の可能性があるPCDF疑診群 (11例) に分けて比較した結果, 両群のpneumobilia, 胆石, 胆摘歴, 胆管系の炎症・閉塞の既往の比率は類似していた. PCDF疑診例を除くと膵管胆管分離開口は同期間に1疑診例しかなかった. 以上, 本邦に2~4%存在するとされる膵管胆管分離開口の大部分がPCDFである可能性が示唆された.

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