1994 年 91 巻 10 号 p. 1956-1962
BT-PABA test(PFD)が膵外分泌機能検査法とされる大前提は,基質BT-PABAが膵酵素α-chymotrypsinの特異基質とされている点にある.臨床例の成績から本検査の信頼性に疑問をもち,成犬を用いて,in vivo,in vitroの実験を行いこの大前提の検討を行った.
in vivoにおいて,膵酵素を完全に除いた膵全摘後の腸管および空置小腸内にBT-PABAを投与したところ,血中PABAの軽度上昇を認めた.in vitroにおいて,これら腸管粘膜の関与を調べたところ,膵全摘後の小腸粘膜は対照群のそれよりも有意に高いBT-PABA分解能を示した.したがってBT-PABAは,in vivoにおいては膵α-chymotrypsinの特異基質でないことが証明されたと考える.