日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
血管造影所見に基づく肝細胞癌多発腫瘍の病態に関する研究
石井 信行吉川 正治江原 正明長門 義宣近藤 福雄税所 宏光大藤 正雄
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 91 巻 11 号 p. 2056-2064

詳細
抄録

未治療の肝細胞癌71例(111結節)を対象に,血管造影所見より多発腫瘍の病態を検討した.切除例は14例であり23結節を,非切除例は57例であり腫瘍径3cm以下の88結節を対象とした.主腫瘍は径の増大に伴い血行動態に腫瘍血管の発現頻度と腫瘍濃染度の増加を認めた.血管造影による腫瘍造影所見を検討すると,径2cm以下の腫瘍では,肝内転移巣は原発巣に比べ血管増生に富む所見を示し,両者間に所見上の差を認めた.多発腫瘍例を分布様式から散布型,集中型,播種型に分類し腫瘍造影所見を検討したところ,集中型,播種型の副腫瘍は原発巣から周囲に肝内転移した病変,散布型では肝内に原発巣が多発した病変である可能性が示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top