糖尿病性胃排出遅延の改善が血糖コントロールに与える影響を検討する目的で糖尿病性胃排出遅延患者11例を対象にcisapride15mg/日を12週間連日投与し,その前後で症状,胃運動機能(固形食および液食胃排出能,胃電図)および血糖コントロールの変化を比較検討した.治療後胃運動不全症状は有意に改善した.胃排出能は固形食で有意に改善し,液食では有意差はないものの改善傾向を示した.胃電図では治療前後で有意差はみられなかったが,食後期の3cpm含有率が増加する傾向を示した.糖尿病のコントロールは,長期血糖コントロール指標であるHbA1C,フルクトサミン,血糖日内変動を表すM値ともに有意な変化はみられなかった.
以上からcisapride長期投与により,胃排出能は改善したが,それに伴う血糖コントロールの悪化はみられないものと思われた.