日本消化器病学会雑誌
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虚血性大腸炎の成因における血小板活性化因子の関与
出射 秀樹長畑 洋司斎藤 洋一
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1995 年 92 巻 10 号 p. 1734-1742

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抄録

虚血性大腸炎の発生機序における血小板活性化因子(platelet activating factor,以下PAF)の役割を,教室で独自に開発した虚血性大腸炎ラットを用いて検討した.すなわち直腸にリングを装着した狭窄群に,結腸辺縁血管の結紮を付加すると結腸に虚血性病変が発生したが,PAF-inhibitor(TCV)を投与すると病変発生率は低下した.また,辺縁血管のクランプでは軽症病変のみが発生し,TCVの投与は病変発生に影響を与えなかった.PAF投与後の結腸病変発生率は胃に比べて有意に低かった.辺縁血管のクランプ解除後,病変発生率は再上昇した.以上より,虚血性大腸炎発生過程ではPAFは病変増悪に関与し,虚血・再灌流障害も軽度の関与をすると考えられた.

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