若年成人の肥満に伴う脂肪肝の臨床的意義を検討するために,健常学生307例(平均年齢19±1歳,男196,女111)に腹部超音波断層検査を行った.その結果,脂肪肝は,肥満では,男子(68.6%[59/86])で,女子(27.3%[9/33])に比べ有意に高率であった.肥満男子の脂肪肝群では,非脂肪肝群に比べ,75gOGTTの空腹時インスリン,インスリン和,GPT,ChE,T.chol,尿酸の各値は有意に高値であったが,脂肪肝のない肥満群と非肥満群では,それらの成績は有意差がなかった.若年成人男子の肥満では,脂肪肝を高率に合併するが,脂肪肝を伴わない肥満もあり,脂肪肝を伴う肥満が,糖質・脂質代謝異常や高尿酸血症を伴いやすいことが示唆された.