日本消化器病学会雑誌
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Helicobacter pylori除菌後の血清ペプシノーゲン値の変化―除菌療法におけるマーカーとしての意義―
時枝 正史児玉 薫伊藤 彰藤山 寛三児玉 礼二川崎 則紀久保田 利博村上 和成藤岡 利生那須 勝
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1995 年 92 巻 11 号 p. 1825-1831

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抄録

87例のHelicobacter pylori陽性の胃・十二指腸疾患患者に対し除菌療法を行い,治療前後での血清ペプシノーゲン値および胃炎スコアの変化を検討した.除菌成功例48例では胃炎スコアは改善し,血清ペプシノーゲンII(以下PGII)値は著明に低下し,ペプシノーゲンI/II比(以下PGI/II比)は有意に上昇した.除菌不成功例39例では胃炎スコアの改善はみられず,PGII値・PGI/II比ともに明らかな変化は認めなかった.血清ペプシノーゲンI値は両群ともに著変はみられなかった.これらの結果に基づいて,PGII値が治療前に比し,治療後30%以上低下したものを仮に除菌成功例と判定した場合,sensitivityは83.3%,specificityは89.7%であった.PGI/II比が治療後30%以上上昇したものを,仮に除菌成功例と判定した場合,sensitivityは95.8%,specificityは94.9%であった.以上より血清ペプシノーゲンは,除菌療法の効果判定において,有用であることが示唆された.

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