日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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胃癌におけるtrefoilグループ細胞増殖因子pS2発現の意義
小栗 剛恩田 昌彦徳永 昭浅野 伍朗
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1996 年 93 巻 10 号 p. 707-716

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抄録

trefoilグループの新しい増殖因子様蛋白pS2の胃癌における意義を免疫組織化学的に検討した.pS2は胃粘膜の腺窩上皮,胃底腺の副細胞,幽門腺に発現した.pS2陽性率は早期癌20%,進行癌30%(χ2=1.41:NS),未分化型と分化型に大別すると早期癌の未分化型25%,分化型15%(p=0.31:NS),進行癌ではそれぞれ38%と15%(p=0.04)であった.癌組織の結合織の多寡では硬性型42%,髄様型13%(p=0.04),浸潤増殖様式別ではINFγ43%,INFα8%(p=0.03)であった.癌を粘液組織化学的に胃型と非胃型に二大別するとpS2陽性率は早期癌の胃型29%,非胃型5%(p=0.04),進行癌では胃型41%,非胃型8%(p=0.0002)であった.

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