肝部分切除後におけるprotein kinase Cα type(PKCα)の発現は,免疫組織化学的に3時間目より門脈域肝細胞に認め,12時間目には小葉内全体に分布,最大となり,24時間目に消失した.反応は細胞膜上,粗面小胞体,およびcytosolに認めた。なお
3H-thymidine(H)によるautoradiographyとの併用法では,(H)取込みはPKCα発現後,同領域に遅れて認められた.また,急性CCl
4障害肝でのPKCαは中心静脈周囲の変性壊死隣接部の肝細胞膜上および細胞質に認め,24時間目に発現は最大となり以後減少し,96時間目にα-fetoproteinが同部に発現した.なお(H)取込みは48時間目に最大となった.以上よりPKCαは増殖活性が亢進する領域の肝細胞に発現し,肝細胞の増殖早期に重要な役割を担うと考えられた.
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