日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
急性肝炎重症型,劇症肝炎における組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の血中濃度測定の臨床的意義
林 毅小林 裕太郎山口 開鴨川 旭高橋 泰人長田 達郎巴 雅威遠山 裕樹吉田 秀樹鈴木 通博飯野 四郎
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 95 巻 3 号 p. 214-220

詳細
抄録

急性肝炎(AH),急性肝炎重症型(AHs),劇症肝炎(FH)において経時的に血中組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の血中濃度を測定し比較を行った.入院時の血中t-PA濃度はAHに比してAHs,FHで有意に高値を示した(各々p<0.05,p<0.01).AHsとFHでは有意差を認めなかった,AHsの血中t-PA濃度は入院時に比して3日目,7日目に有意な低下を認めた(各々p<0.05).FHの血中t-PA濃度は入院時,3日目,7日目と有意な変動を認めなかった,3日目,7日目の血中t-PA濃度はAHsに比してFHで有意に高値を示し(各々p<0.05),3日目では脳症発現前FHでもAHsに比して有意に高値であった(p<0.01),急性肝障害において高t-PA血症が持続する症例は劇症肝炎に移行する可能性が高く,血中t-PA濃度の動態を知ることは劇症化の早期診断に有用と考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top