日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ラット大腸発癌モデルにおいて大腸炎は腫瘍発生を促進する;Aberrant cryptfoci(ACF)と腫瘍発生との相関
降籏 正川又 均大杉 理恵佐藤 茂秋窪田 敬一藤盛 孝博
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キーワード: 大腸癌, 炎症, DMH, TNB, ACF
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2001 年 98 巻 5 号 p. 525-532

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抄録

ラット大腸発癌モデルを用い,腫瘍発生に及ぼす炎症の関与を検索した.F344ラットを発癌剤1,2-dimethylhydrazine(DMH)で処理後,炎症誘発剤Trinitrobenzene sulfonic acid(TNB)で大腸炎を誘発したところ,前癌病変と考えられているAberrant crypt foci(ACF),大腸癌ともに,炎症をおこさなかった群に比較して発生率が上昇した(p<0.01).また,ACFの発生率と腫瘍の発生率には正の相関が認められた.さらにDMH処理し,TNBで大腸炎を誘発した後に2種類の抗炎症剤(Fenbufen,PAF-RA)の投与を行ったところ,PAF-RA投与を行った群でのみ有意にACFの発生が抑えられた(p<0.05).

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