2001 年 98 巻 6 号 p. 615-623
消化管リンパ腫の分類,知見はMALTリンパ腫の概念の登場によって大きく深化した.胃MALTリンパ腫の多くはH. pylori依存性に増殖しており,H. pyloriの除菌によって消退することが明らかとされてきた.一方,除菌に反応しない胃MALTリンパ腫の同定と取り扱いが急速に問題となりつつある.ごく最近,除菌無効例がt(11;18)染色体転座に基づくAPI2-MALT1キメラ遺伝子異常を有することが明らかとなった.同遺伝子異常は,今後,除菌反応性を予測する上での分子指標となる可能性が期待されている.これらMALTリンパ腫における知見の進歩は,消化管リンパ増殖性病変の本態を理解するうえで極めて重要である.