日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
急性膵炎重症化の機序
急性膵炎
下瀬川 徹
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2001 年 98 巻 9 号 p. 1029-1036

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抄録

1996年の第2回全国調査によれば,本邦における重症急性膵炎の致死率は27%と相変わらず高く,10年前と比べて改善がみられていない.重症急性膵炎の死亡原因としては膵および膵周囲の化学的炎症によって,発症早期に大量に放出される各種メディエーターを介した肺,循環器系,腎,肝など膵から離れた重要臓器の多臓器不全と,全身免疫系の障害を背景として合併し,進展・持続する重篤な感染症が発症2週以降の後期に頻度が高い死亡原因となる.これら病態の機序や病因に関しては未だに不明な点が多く,全身疾患としての膵炎重症化を阻止する特異的な治療法の開発が待たれている.

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