要旨:当施設で経験した化膿性肝膿瘍39例中6例(1596)が
Streptococcus milleri(以下
S.milleri)によるものであった.これら6例を対象に臨床的検討を行った.男性5例,女性1例,年齢は43歳~81歳で平均61歳であった.6例中5例が基礎疾患を有していた.全例に発熱がみられたが,腹痛は半数のみであった.6例中3例は混合感染であり,特に口腔内嫌気性菌である
Fusobacteriumが3例中2例にみられた.しかし,他菌種による肝膿瘍33例との比較検討では,臨床的な違いはみられなかった.したがって,起因菌が同定されるまでの肝膿瘍に対する抗菌薬の選択の際は,口腔内常在微好気性菌である
S.milleriおよび口腔内嫌気性菌も考慮すべきであると考えられた.
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