Helicobacter pylori(Hp)感染と胃粘膜病変の関わりについては研究・臨床の両サイドで明らかにされ,2000年11月より,Hp感染にともなう消化性潰瘍に対してその除菌療法が保険適応となった.さらに我が国からは胃癌とHp感染の関わりについても質の高い報告がなされつつある.我が国における高いHp感染率と胃癌発生との関連を追求するには,菌種や宿主要因・胃内のさまざまな環境・惹起される炎症反応など,検討に加えるべき項目は多い.本稿ではpathogenとしてのHpの同定から最近の研究成果までその多くを紹介しつつ,Hp感染と胃癌発生との関連について考える.