日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
99 巻 , 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 野崎 浩二, 清水 伸幸, 曹 雪源, 稲田 健一, 塚本 徹哉, 立松 正衛
    2002 年 99 巻 3 号 p. 247-252
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori(Hp)感染と胃粘膜病変の関わりについては研究・臨床の両サイドで明らかにされ,2000年11月より,Hp感染にともなう消化性潰瘍に対してその除菌療法が保険適応となった.さらに我が国からは胃癌とHp感染の関わりについても質の高い報告がなされつつある.我が国における高いHp感染率と胃癌発生との関連を追求するには,菌種や宿主要因・胃内のさまざまな環境・惹起される炎症反応など,検討に加えるべき項目は多い.本稿ではpathogenとしてのHpの同定から最近の研究成果までその多くを紹介しつつ,Hp感染と胃癌発生との関連について考える.
  • 太田 慎一, 伴場 裕巳, 今井 幸紀, 新井 晋, 藤原 研司
    2002 年 99 巻 3 号 p. 253-263
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    大腸癌の予防は重要な課題であり,この点でプロスタグランジン合成酵素であるCOX-2が注目を集めている.家族性大腸腺腫症ではヒトで有意の腺腫に対する退縮効果が報告された.しかしながらその作用機序に関しては現在も様々な議論がある,ヒトの癌においては臨床的展開が期待されると共に癌発生機構解明の手がかりを与えてくれる可能性のある分野であり,今後の発展が期待される.
  • 洲崎 文男, 鈴木 亮一, 杉山 貢
    2002 年 99 巻 3 号 p. 264-269
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    心肺停止からの蘇生症例で急性胃粘膜病変を幽門部に生じたものでは脳機能が良好な傾向を認めたため,蘇生例の脳機能と胃粘膜病変の分布の関係の検討した.内因性疾患が原因の心肺停止蘇生症例で蘇生後48時間以内に上部消化管出血を合併した45例に上部内視鏡検査を行い,脳幹機能の評価には聴性脳幹反応を,大脳皮質の評価には脳波を用いた.幽門部に急性胃粘膜病変を生じたものでは聴性脳幹反応は全例正常で,脳波も高度に障害されたものはなかった,幽門部に胃粘膜病変を認めなかったものでは聴性脳幹反応は6096が高度に障害されており脳波も全例高度に障害されていた.このため幽門部の急性胃粘膜病変の発生には中枢性の機序が深く関与していると考えられた.
  • 廣吉 基己, 荻野 和功, 守友 仁志, 北川 哲司, 山本 英明, 綿引 元, 小川 博, 長田 裕
    2002 年 99 巻 3 号 p. 270-274
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.体上部小彎の早期胃癌の術前診断にて噴門側胃切除術を施行した.病理組織学的所見では深達度mの高分化腺癌の他に,体上部小彎前壁寄りにクロモグラニン陽性の2個のカルチノイド腫瘍と多発するendocrine cell micronest(ECM)が認められた,非腫瘍部の胃底腺粘膜は腸上皮化生が著明でA型胃炎を背景としていた.リンパ節転移はみられなかった.
  • 石井 徹, 小笹 里砂, 宮島 治也, 潘 紀良, 平田 康二, 石舘 卓三, 住吉 葉子, 堀 泰之
    2002 年 99 巻 3 号 p. 275-281
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は,71歳男性.腹水貯留と貧血で入院.胃のBorrmann3型腫瘍と広範な門脈腫瘍塞栓が認められた.腫瘍マーカは,CEA132.1ng/ml,AFP1855 1.7ng/ml,PIVKA-II 1.08AU/mlと上昇していた.HBs-Ag,HCV-Abはともに陰性であり,肝実質に腫瘍性病変を認めなかった,胃生検で中分化管状腺癌と診断され,AFP,PIVKA-II免疫染色はいずれも陽性であった.PIVKA-IIを産生し,広範な門脈腫瘍塞栓を形成した胃癌症例を経験したので報告した.
  • 岡田 章一, 藤岡 雅子, 田口 誠一, 津山 博, 粟田 浩史, 恩地 英年, 井上 哲也, 藤田 隆, 澤 敏治, 今村 好章
    2002 年 99 巻 3 号 p. 282-288
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    直腸内分泌細胞癌の1例を経験した.症例は77歳,男性.主訴は排便時出血.直腸(Rb)に長径2cmのIIa+IIc型の腫瘍を認めた.患者の呼吸状態が不良であったため経仙骨的直腸切除術を施行.病理診断はHE染色と免疫染色所見より深達度smの内分泌細胞癌と診断.腫瘍の口側,肛門側には高分化腺癌の合併を認めた.本症例は急速に全身転移をきたし術後170日目に死亡した.
  • 上田 城久朗, 久米 恵一郎, 芳川 一郎, 甲斐 理々子, 永田 夏織, 田村 美歩, 山崎 琢士, 大槻 眞
    2002 年 99 巻 3 号 p. 289-294
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.坐骨神経痛に対し非ステロイド性抗炎症剤(non-steroidal antiinflammatory drugs;以下NSAID)を服用中に下痢が出現した.大腸内視鏡検査では回腸末端と全大腸にアフタ性病変が散在し,回腸末端,上行結腸,下行結腸,直腸からの生検組織で肉芽腫を認めたが臨床経過や内視鏡像からの腸結核やCrohn病は否定的であった.NSAID投与中止後,下痢とアフタ性病変は改善した.約2週間後,NSAIDを再投与されたところ下痢と回腸末端および全大腸にアフタ性病変が再出現したがNSAIDの中止により軽快し,臨床経過からNSAID起因性腸炎と診断した.肉芽腫をともなったNSAID起因性腸炎は極めてまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 小沢 俊文, 渡辺 秀紀, 奥山 裕子, 奥村 浩二, 土屋 豊一, 丹治 伸夫, 安斎 幸夫, 海上 雅光
    2002 年 99 巻 3 号 p. 295-301
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女性.主訴は下腹部痛.下部消化管検査にて直腸S状結腸部に2型進行癌を認め,同時に右副腎腫瘤を指摘された,腹部CT検査では軽度の造影効果を有する腫瘤との診断にとどまったが,腹部MRI検査では中心部より辺縁に車軸状に拡がる造影帯や不均一な内部構造が明らかとなり,また腫瘤辺縁に均一幅の造影帯を認めたことより大腸癌の孤立性副腎転移を第一に考えた.手術を施行し,中分化型腺癌が正常副腎組織を辺縁に圧排しながら増殖しておりMRIの所見に合致していた,悪性腫瘍にともなう副腎腫瘤の鑑別における腹部MRI検査は,検査の簡略化や術式決定の上でとくに有用であると考えられた.
  • 神尾 多喜浩, 多田 修治, 宮瀬 秀一, 藤本 志保, 上野 直嗣, 今村 治男, 廣田 和彦, 藤本 貴久, 須古 博信
    2002 年 99 巻 3 号 p. 302-306
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    特異な病理学的所見を呈した肝膿瘍を経験したので報告する.症例は52歳,女性.1990年5月胆石のため開腹下に胆嚢が摘出された.同年10月頃より発熱が出現し,肝膿瘍と診断された.その後膿瘍が増大し1992年10月肝右葉切除術を施行した,病理学的には実質内に小結節が癒合しサンゴ様の形態を示す不整な占拠性病変がみられ,中心に壊死または膿瘍を有する類上皮肉芽腫を認めた.細菌学的検査ではAlcaligenes xylosoxidansが同定された.
  • 海江田 衛, 浜田 信男, 石崎 直樹, 中村 登, 門野 潤, 福枝 幹雄, 坂田 隆造, 東 美智代, 北島 信一, 米澤 傑
    2002 年 99 巻 3 号 p. 307-312
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.画像検査で胆管壁は肝門部から三管合流部まで全周性に肥厚し内腔は狭窄していた.進行肝門部胆管癌と診断し拡大肝右葉切除術を施行した.病理組織診断では,一部の粘膜に早期の胆管癌が存在したが,狭窄部のほとんどの胆管壁は線維性肥厚と周囲には強い炎症性細胞の浸潤がみられたことより,早期胆管癌を合併した限局型PSCと診断された.限局型PSCの胆管癌合併例は極めてまれで若干の文献的考察を加え報告する.
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