心肺停止からの蘇生症例で急性胃粘膜病変を幽門部に生じたものでは脳機能が良好な傾向を認めたため,蘇生例の脳機能と胃粘膜病変の分布の関係の検討した.内因性疾患が原因の心肺停止蘇生症例で蘇生後48時間以内に上部消化管出血を合併した45例に上部内視鏡検査を行い,脳幹機能の評価には聴性脳幹反応を,大脳皮質の評価には脳波を用いた.幽門部に急性胃粘膜病変を生じたものでは聴性脳幹反応は全例正常で,脳波も高度に障害されたものはなかった,幽門部に胃粘膜病変を認めなかったものでは聴性脳幹反応は6096が高度に障害されており脳波も全例高度に障害されていた.このため幽門部の急性胃粘膜病変の発生には中枢性の機序が深く関与していると考えられた.