2002 年 99 巻 5 号 p. 463-468
大腸早期癌の診断学は近年めざましい進歩をとげ,IIcを中心とした陥凹型早期癌や側方発育型腫瘍(LST)を主とする平坦型腫瘍の重要性が認識されている.これらの病変は,その存在を認識していなければ内視鏡検査を頻回に行っても見逃されているケースが多く内視鏡的診断が難しい.その存在と病理組織学的特徴を十分に把握して内視鏡検査を行うことは極めて重要である.従来は幻の癌といわれ,臨床的に診断されることの少なかった平坦・陥凹型の発見の経緯,概念,大腸癌の自然史における位置づけを含めその実体を明らかにするとともに,内視鏡的な発見の診断手順とその治療法について解説する.