抄録
本調査研究では、企業と障害者を対象としたアンケート調査及びヒアリング調査を実施することにより、職場での情報のやり取りについて障害者が直面している課題や、それらの解消のために職場で行われている配慮、障害者による工夫について、明らかにするよう試みた。
調査の結果、①企業と障害者の間で情報共有の困難性に関する認識の傾向が一致している障害種別と相違がある障害種別があり、認識の相違が生じる可能性を考慮し、日ごろのコミュニケーションを充実させるなど、企業が障害者の困難に気づくような取組が望まれること、②業務指示を行う場面と、業務指示以外の情報共有を行う場面のそれぞれの状況と、対象となる障害者の特性の両方を考慮した配慮や工夫が行われていること、そして③多様なオンラインコミュニケーション手段の活用が上司や同僚と障害者との情報のやり取りに好影響を与えている一方で、対面でのやり取りの有用性が認識されていることなどが明らかとなった。