2019 年 4 巻 1 号 p. 44-51
【目的】急性期脳卒中の搬入から治療開始までの時間短縮を目的に各手順を定型化した「脳卒中スクランブル」による血栓回収療法の症例数や治療成績の変化を明らかにする.【方法】2012 年9 月から2017 年12 月の間で発症4.5 時間以内の急性期虚血性脳卒中を対象に血栓回収症例数,治療に関連する時間,転帰について「脳卒中スクランブル」導入前後で後向きに解析した.【結果】血栓回収実施件数は有意に増加し(20/63,32% vs. 86/117,74%),来院から穿刺(分,中央値,四分位範囲192,146–218 vs. 85,65–103),穿刺から再開通(158,101–180 vs. 45,28–73),発症から再開通(437,378–552 vs. 241,185–305)の時間は短縮,Thrombolysis in Cerebral Infarction 2b 以上の有効再開通率は増加した(45% vs. 85%)(いずれもP<0.001).3 カ月後のmodified Rankin Scale 0–2 は15%から42%に増加した(P=0.038).【結論】「脳卒中スクランブル」導入により,急性期血栓回収療法は増加,臨床転帰も改善した.