2019 年 4 巻 1 号 p. 52-54
【目的】九州各県の専門医数に関しては,熊本県以外は全国平均と比較して同等かそれ以上の数が在籍していた.福岡県,佐賀県,長崎県は症例数が多かったが,その他の県に関しては,全国平均より少ない症例数であった.症例数が少ない県は,専門医が県庁所在地などの都市部に偏在しており,広大な県内の各地域をカバーしきれていないことが影響していることが推察される.今後,各県で脳血管内治療の対象となる急性期脳梗塞患者の搬送システムの確立や,脳血管内治療専門医の偏在化に関する取り組みが必要と考える.【方法】熊本県では,これらの問題を解決するため,「熊本血栓回収療法地域格差解消プロジェクト(Kumamoto EliminAting Regional THrombectomy disparity project: K-EARTH)」を開始した.【結果】K-EARTH は,脳梗塞に対して血管内治療を行っている熊本市内の施設が共通の脳梗塞血管内治療ホットラインを作成し,脳卒中診療を行っているが血管内治療が行えない熊本県内の病院に血管内治療の適応患者が搬入された場合,ホットラインに連絡し,治療可能な施設にヘリコプターなどを用いて速やかに搬送を行い,血管内治療を行えるようにするシステムである.【結論】このシステムにより,県内全域の患者に対して血管内治療が行える体制が整えられつつある.