2019 年 4 巻 1 号 p. 37-43
【目的】2016 年秋の日本脳神経血管内治療学会 (JSNET) 中国四国地方会における「脳梗塞急性期血行再建」の特別シンポジウムの中から,医療資源を集中させることが困難な山間部過疎地におけるtissue-plasminogen activator (t-PA) 静注から血栓回収療法のモデルケースとして下記の3 つを報告する.【方法・結果】1)地域の中核病院に集約してcomprehensive stroke center (CSC)に準じる施設を構築し,それまでゼロであった血栓回収療法が急増し,治療成果をあげた.2)大学病院と連携して血管内治療専門医の応援によるMobile Endovascular-therapy を展開し,血栓回収療法施行件数が急増し,それに伴って地元医師の技量も向上し,応援医師が不要となった.3)ドクターヘリ(場合によっては救急車)による全県型のhub-and-spoke モデルによる大学病院のCSC 化により,専門医不在地域から遠隔画像を駆使した診療支援により効率的に患者搬送を行い成果をあげた.【結論】これらの取り組みが,日本各地の同様の問題を抱える地域に対して,参考になることを期待する一方,多大なマンパワーが必要で,医師およびメディカルスタッフへの大きな負担の上に成り立っているため,今後の社会整備・サポートの必要性も強調したい.