2019 年 4 巻 3 号 p. 103-109
【目的】難治性慢性硬膜下血腫に対する中硬膜動脈塞栓術における,塞栓物質による再発抑制効果の 違いについて検討する.【症例】65 歳男性.難治性再発性の慢性硬膜下血腫に対し,エンボスフィ ア(300–500 μm; 日本化薬,東京)による中硬膜動脈塞栓術を行った.その後,器質化血腫の ため開頭血腫除去術を行ったが,短期間で再発した.病理上,エンボスフィアは血腫被膜に浸透し ていなかった.再発時,対側中硬膜動脈から血腫被膜への血流を認め,n-butyl-2-cyanoacrylate (NBCA)による塞栓術を行ったところ,血腫増大は抑制された.【結論】エンボスフィア(300–500 μm)は,粒子径が大きすぎて血腫被膜に浸透しない可能性があり,再発抑制効果が乏しい.また,対側中硬膜動脈からの側副血行路に注意する必要がある.